飛島(読み)トビシマ

デジタル大辞泉 「飛島」の意味・読み・例文・類語

とび‐しま【飛島】

山形県酒田市、日本海上にある小島。西廻にしまわり航路の盛んなころは西風に強い重要寄港地。ウミネコの繁殖地。

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精選版 日本国語大辞典 「飛島」の意味・読み・例文・類語

とび‐しま【飛島】

  1. 山形県酒田市、酒田港の西北方約四〇キロメートル沖合の日本海にある島。江戸時代西廻航路の寄港地としてにぎわい、漁業の島としても知られた。鳥海国定公園の一部。旧称とど島。

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日本歴史地名大系 「飛島」の解説

飛島
とびしま

[現在地名]酒田市飛島

酒田港の北西約三九キロに位置する日本海の小島。海を挟んで東に鳥海山を望み、鳥海国定公園に含まれる。江戸時代には漁労の島として、また酒田湊の補助港として知られた。本土との間の海は比較的深く、付属島はすべて無人で、八幡はちまん崎沖に二俣ふたまた島・丸神まるかみ島・オカミ島、鼻戸はなと崎沖にオビジャク島・ふね島・てら島・あら島、南西沖に御積おしやく島・あか島・島・とり島などがある。本島の外形はT字形で北東に広く、南西に狭い不整梯形の台地状をなす。長径三二六〇メートル、短径二一〇〇メートル、総面積二・三六平方キロ。南端の蛭子前えびすまえ崎と北東部の鼻戸崎の間は水深一一メートルの飛島港。海岸線は比較的単調であるが、南東部は複雑になっており、砂浜で本島と結ばれたたて岩との間に勝浦かつうら湾を形成する。標高は五〇メートル前後で最高点は六九メートルの高森たかもり山。中新世の地層(飛島層)とこれに伴う火山岩で構成されており、西側には三段の、東側には二段の海岸段丘がある。海洋性気候のため平均気温は高く、八月摂氏二二・八度、一月一・二度、年平均一二・七度。冬の積雪量、夏の降水量ともに少ない。西海岸の段丘上に湧水が多く、北西海岸がこれに次ぎ、東海岸は水量に乏しいが、集落は湧水に比例せず、冬の西風を避けて北東海岸に法木ほうき、東海岸に中村なかむら(江戸時代は浦)と勝浦がある。

本島南部に縄文時代の柏木山かしわぎやま遺跡・蕨山わらびやま遺跡・葡萄崎ぶどうざき遺跡がある。山形県は縄文時代前期から中期にかけて東北地方南部の大木系文化圏に含まれるが、前期末から中期初頭には北部の円筒土器文化や北陸の土器文化と交流があった。この傾向が飛島では典型的に現れており、蕨山遺跡からは円筒土器上層b式に属する深鉢や、北陸方面の影響を受けた文様をもつ土器片などが出土している。


飛島
ひしま

[現在地名]笠岡市飛島

神島外浦こうのしまそとうらの南方海上一五キロに位置し、大飛おおひ島と小飛こび島の二島からなる。真鍋まなべ島の西方にあたり、かつては同島の枝島で、享徳二年(一四五三)の真鍋氏先祖の系図(備中真鍋島の史料)には「干島」とみえる。近世には神島外浦に属した。大飛島は面積約一平方キロ、周囲六キロ余、東方九〇〇メートルの海上に小飛島があり、大飛島より小飛島に向かって砂洲が延びる。

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改訂新版 世界大百科事典 「飛島」の意味・わかりやすい解説

飛島 (とびしま)

山形県北西方,酒田港より北西約39kmにある日本海上の島。酒田市に属する。主として新第三紀中新世の玄武岩質凝灰角レキ岩から成る隆起海食台地で,南北約3km,周囲約10km,面積約2.5km2。最高点の標高は69m。対馬海流の影響で冬季も温暖で,タブノキの群落やムベ,モチノキなど暖地性の常緑広葉樹が多い。居住の歴史は古く,縄文時代の居住跡がある。近世には庄内藩に属し,飛島港は西廻海運が盛んなころは西風に強い避難港,風待港,中継港として利用され,問屋も置かれた。明治以降は交通手段の変化に伴い中継港の機能は失われたが,昭和初期から港湾の整備も進み,日本海沿岸のイカ,タラ漁などの基地となった。北海漁場への出稼ぎが盛んとなった明治中ごろからは,出稼ぎさせるための南京小僧と呼ばれるもらい子制度がみられた。酒田港から定期船の便があり,春から秋にかけて磯釣りなどの観光客でにぎわう。島全体が鳥海国定公園に属し,西沖合約1kmの御積(おしやく)島とともにウミネコの繁殖地(天)で知られる。
執筆者:

法木(ほうき),中村,勝浦の3集落とも,夏のイカ漁と冬のタラ漁を営んできたが,島内で収穫される米はわずか50石程度であり,江戸時代から行商船が米どころの庄内や由利地方(現,秋田県南西部)へ通う慣行があった。島の女が乗り組んで〈ダンカ〉と呼ばれる得意先を回り,毎年同じダンカに泊まって,春には五月(さつき)船が田植肴(ざかな)と呼ばれる鮮魚を,秋の米の収穫期には秋船がワカメなどの海藻,イカやサザエの塩辛,タナゴ,トビウオ,ハツメなどの干物を売り,米を買った。
執筆者:


飛島[村] (とびしま)

愛知県西部,海部(あま)郡の村。人口4525(2010)。濃尾平野南端に位置し,伊勢湾に注ぐ日光川河口西岸を占める。17世紀末期から百数十年にわたって干拓された新田地帯で,米作を中心に野菜,花卉の栽培が行われ,金魚の養殖も盛ん。1959年の伊勢湾台風では大被害を受けたが,63年名四国道(国道23号線)が開通し,さらに貯木場などを備えた木材港が建設されて工業化が進んだ。周辺の木材工業団地を中心に製紙,電力,造船などの工場が進出し,名古屋市に隣接する商工業地帯へと発展している。伊勢湾岸自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飛島」の意味・わかりやすい解説

飛島(山形県)
とびしま

山形県北西方、酒田(さかた)港の北西約40キロメートルの日本海上にある島。古くはトドの来る島から「とど島」ともよばれた。酒田市に属する。日本海沿岸の奥尻海嶺(おくしりかいれい)の主峰が海上に現れたもので、面積2.75平方キロメートル。南北約3キロメートル、周囲12キロメートル。新第三紀中新世の玄武岩質凝灰角礫(かくれき)岩からなる堆積(たいせき)岩を主とし、部分的に玄武岩、流紋岩、安山岩などの貫入がみられる。地形的には全般的に平坦(へいたん)で、海岸段丘が発達し、最高地点でも68メートルにすぎない。遠望すると海岸線を急崖(きゅうがい)で限られた台状を呈す。島の南西に火山岩からなる御積(おしゃく)島や烏帽子(えぼし)諸島がある。対馬海流(つしまかいりゅう)の影響で冬季も温暖で、タブの群落やムベ、モチノキなどの常緑広葉樹も多く、暖地性植物の北限地、またオノミチサンゴの最北生息地。縄文時代の土器や人骨が出土した海食洞のテキ穴遺跡がある。近世には庄内(しょうない)藩に属し、漁業を生業としたが、勝浦、中村、法木(ほうき)の3集落間に激しい漁場争いもあった。また西廻航路(にしまわりこうろ)が盛んなころは西風に強い避難港、風待ち港、中継港として利用され、十数軒の問屋もあった。1914年(大正3)酒田―勝浦間に定期便が就航。1932年(昭和7)勝浦築港以後は港湾としての整備も進み、日本海のイカ、タラ漁など沿岸・沖合漁業の基地となっている。現在は離島振興法などによる発電設備やダム築堤による簡易水道も完成、民宿もできて5~10月にかけては磯(いそ)釣りなどの観光客でにぎわう。庄内浜および飛島の漁撈用具は国指定重要有形民俗文化財。ウミネコ繁殖地として国の天然記念物に指定。鳥海(ちょうかい)国定公園に属す。人口は1950年の1618人をピークに減少を続け、2009年(平成21)には272人となった。

[中川 重]

『『鳥海山・飛島』(1972・山形県総合学術調査会)』



飛島(村)
とびしま

愛知県西部、海部郡(あまぐん)にある村。村域のほとんどが日光川、筏(いかだ)川下流の干拓によってできた土地で、水田地帯で稲作が行われている。伊勢湾岸(いせわんがん)自動車道、名四国道(国道23号)が東西に、名古屋第二環状自動車道、国道302号が南北に走り、伊勢湾岸自動車道の飛島インターチェンジと名古屋第二環状自動車道の飛島北インターチェンジがある。名古屋市との結び付きが強い。海抜ゼロメートル地帯で、伊勢湾台風(1959)で長期冠水したが、災害復興事業によって土地改良が進んだ。南部の湾岸には埋立地ができ名古屋港西部臨海工業地帯の木材工業地区の集結地となっている。埋立地の先端に西名古屋火力発電所がある。面積22.42平方キロメートル(境界一部未定)。人口4575(2020)。

[伊藤郷平]

『『飛島村史』全3巻(1999~2001・飛島村)』



飛島(岡山県)
ひしま

岡山県南西部、瀬戸内海の笠岡(かさおか)諸島の島。大飛島(おおびしま)(1.05平方キロメートル)と小飛島(こびしま)(0.3平方キロメートル)からなり、笠岡市に属す。両島間は干潮時に長さ350メートル、幅10~30メートルの砂州が発達し徒歩で渡ることができたが、潮流の変化などにより現在は砂州の規模が小さくなっている。海運業が主産業であるが、近年は出稼ぎ人口が多い。瀬戸内海国立公園の一部。大飛島の洲の南遺跡は奈良時代から平安時代にかけてのもので、出土品は国の重要文化財に指定され、一部が笠岡市立郷土館で展示されている。人口は大飛島108(2009)、小飛島31(2009)。

[由比浜省吾]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飛島」の意味・わかりやすい解説

飛島
とびしま

山形県北西部,酒田市の北西約 40kmの日本海上に浮かぶ小島。酒田市に属する。周囲 12km,最高点の高森山は標高 69m。隆起海食台からなり,南西部に約 10の岩礁群が点在する。縄文・弥生時代の遺物が出土し,居住の歴史は古い。江戸時代は日本海を航行する帆船の寄港地として繁栄。年間 500隻以上の船が寄港していた。主要産業は漁業。小物忌神社 (おものいみじんじゃ) は鳥海山 (2236m) の大物忌神社と対をなす風の神をまつった式内社で,毎年7月には対岸の吹浦と火合わせの行事がある。西方の小属島,御積島はウミネコの繁殖地で国指定天然記念物。属島を含みほぼ全域が鳥海国定公園に属する。面積 2.70km2 (2003) 。人口 316 (2000) 。

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百科事典マイペディア 「飛島」の意味・わかりやすい解説

飛島【とびしま】

山形県酒田市,市街北西約40kmにある島。標高50〜60mの隆起海食台地で,面積2.73km2。東岸の飛島港は近世以来の避難港。江戸時代より150軒をこえる家数で,魚を多く産する島ということで〈とと島〉とも称された。イカ・タラ漁,アワビ・ノリ養殖,チューリップ栽培が盛ん。ウミネコ繁殖地(天然記念物)で,鳥海国定公園に属する。
→関連項目酒田[市]

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デジタル大辞泉プラス 「飛島」の解説

飛島

長崎県松浦市、金井崎の北約3キロメートルに位置する平戸諸島の島。面積約0.5平方キロメートル。島の南にある属島「小飛島」と区別して「大飛島」とも呼ばれる。江戸時代に始まった石炭採掘は昭和40年代まで続いた。閉山後は漁業が中心となっている。

飛島

岡山県笠岡市、瀬戸内海の笠岡諸島に属する「小飛島(こびしま)」「大飛島(おおびしま)」の総称。「ひしま」と読む。

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