南アフリカ原産のユリ科の半耐寒性多年草。和名のムラサキクンシランは,葉がクンシランに似て花が紫色であることに由来するが,クンシランの仲間ではない。基部に塊茎があり,これより長さ20~40cm,幅約1.5cmの細長い葉を根生し,6~7月ころ葉間より40~80cmに伸びる花茎を出して,その頂に淡藤紫色のユリ状小花を10~30輪くらい散形状に密に咲かせる。花は長さ3~4cmで上部が鐘状漏斗形に広がる。園芸品種が多く,一重咲き,八重咲きのほか,花色も藤紫色,白色もあり,白または黄色の条斑の入る斑入葉種や,小型の矮性品種もある。花言葉は恋の訪れ。庭園用,鉢物用として観賞されるが,植え時は春で,日当りよく肥沃な土地を好む。関東以西の温暖地では戸外で越冬をするが,寒冷地では鉢栽培をし,冬季は屋内へ取り込んで越冬させた方がよい。
アガパンサス属Agapanthusは南アフリカに特産する数種からなり,それらはすべてきれいな花をつけ,栽植される。
執筆者:柳 宗民
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ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)の1属名で、アフリカに4種分布する多年草。そのうちで庭園や花壇、切り花用として広く栽培されているのは、南アフリカ原産のムラサキクンシランA. africanus (L.) Hoffmanns.で、これは別名アフリカンリリーafrican lilyという。本種は茎元より太い多肉質の根が多数密生し、葉は細長い根出葉で幅3~4センチメートル、長さ40~50センチメートル。7月ごろ0.7~1メートルの花茎を伸ばし、先端にユリ状の花を20~30個、散形状につけ、八重(やえ)咲きもある。花色は青のほかに白、紫などがある。寒さにはやや弱いが、東京付近では根株は戸外で越冬する。日当りを好むじょうぶな宿根草で、4月ごろ株分けし、そのまま植えかえずに3~4年は花壇に据え置いてもよい。
[神田敬二 2019年1月21日]
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