六訂版 家庭医学大全科 の解説
アトピー性皮膚炎による眼の病気(白内障と網膜剥離)
アトピーせいひふえんによるめのびょうき(はくないしょうともうまくはくり)
Eye disorders associated with atopic dermatitis (Cataract and Retinal detachment)
(眼の病気)
どんな病気か
アトピー性皮膚炎は、皮膚がかゆくなり、赤くなる病気です。この病気に伴って、眼にも結膜炎、まぶたの皮膚炎、
白内障はカメラでいえばレンズがにごってくる病気で、網膜剥離はフィルムの膜面がはがれてくる病気です。
原因は何か
アトピー性皮膚炎の本当の原因はわかっていませんが、アトピー性素因をもっている人がこの病気になります。
アトピー性皮膚炎に伴う白内障の原因として、
本症での網膜剥離も、白内障と同様に原因は不明ですが、かゆみを止めるための殴打による外傷は誘因のひとつです。
症状の現れ方
アトピーに伴う白内障は、20歳前後の若い人の両眼にみられます。視力が低下して気づきますが、進行の程度は人さまざまです。
網膜剥離も若い人に現れますが、普通の網膜剥離と違って網膜の最周辺(中心から離れたところ)に
検査と診断
白内障は、
網膜剥離の多くは、眼底検査で診断できます。視力が低下していないかどうかを検査し、視野検査で網膜剥離の広さを記録します。十分に眼底が検査できない時は、超音波検査や網膜電図の測定を行います。最も重要なことは、眼底検査で網膜の
治療の方法
白内障の治療は主に手術によります。老人性白内障の手術と同様で、
網膜剥離の治療は、網膜裂孔の部位に眼球外からシリコン棒などを当てたり、眼球の赤道部をシリコンなどではちまき状に締めたりします。また裂孔が大きい時や、増殖組織が多い時は
病気に気づいたらどうする
白内障の場合は、仕事や学業に支障を来すような視力になったら手術を受ければよいでしょう。眼内レンズを入れても、遠方かあるいは近くのどちらかにしか焦点が合わないので、眼鏡が必要であることを自覚しておく必要があります。
網膜剥離の場合は、視力が低下していたら、相当進行している状態ですので、早急に入院し手術を受けるべきです。
大西 克尚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報