イタコン酸(読み)いたこんさん(英語表記)itaconic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタコン酸」の意味・わかりやすい解説

イタコン酸
いたこんさん
itaconic acid

脂肪族ジカルボン酸の一つ。天然には菌類の代謝物として得られる。工業的にもイタコン酸発酵を利用して製造する。菌としてアスペルギルス属の一群Aspergillus terreusを用いると、グルコースから60%程度の収率でイタコン酸が得られる。

 水にかなり溶けるほかエタノールエチルアルコール)にも溶ける。重合により水溶性樹脂が得られるので親水性の合成樹脂をつくる原料になる。ジエステル熱可塑性樹脂合成繊維などの原料となる。

[廣田 穰]


イタコン酸(データノート)
いたこんさんでーたのーと

イタコン酸

 分子式 C5H6O4
 分子量 130.1
 融点  162℃(分解
 沸点  減圧下で昇華
 溶解度 8.3g/100g(水20℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イタコン酸」の意味・わかりやすい解説

イタコン酸
イタコンさん
itaconic acid

イタコン酸発酵によって得られるジカルボン酸で,次の構造をもつ。
特異な臭いをもつ融点 167~168℃の無色結晶吸湿性,昇華性がある。ポリエステル樹脂,ビニル共重合樹脂などとして塗料やイオン交換樹脂などに,高級アルコールとのエステルとして可塑剤などに使われる。

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