日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォーターバック」の意味・わかりやすい解説
ウォーターバック
うぉーたーばっく
waterbuck
[学] Kobus ellipsiprymnus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。アフリカの東部と南部に分布し、川や湖、沼などの水辺の草原に多い。肩高1.1~1.3メートル、体重160~270キログラム。角(つの)は雄だけにあって長さ80~90センチメートル、緩やかに前内方に曲がる半月形。体は霜降り状の灰茶色ないし黒茶色で、臀部(でんぶ)に白色の楕円(だえん)形の帯がある。普通10~50頭ほどの群れで生活し、中心は雌と子で、水辺から採食地の草地までを行動圏とする。雄はこのなかに縄張りをつくっている。よく伸びた草が主食で、水中の草や木の葉を食べることもある。交尾期はおもに乾期といわれ、妊娠期間約240日ののち普通1子を産む。子は水辺の深い茂みで生まれ、3~4週間すると母親について草地に出てくる。ごく近縁な種にシンシン(デフォッサウォーターバック)K. defassaがあり、大きさも形態もよく似ているが、臀部に楕円形の白帯がなく、白斑(はくはん)があるので区別できる。このほか近縁なものにコーブK. kob、プークーK. vardoni、リーチュエK. leche、ナイルリーチュエK. megacerosがあり、いずれも体は肩高80~105センチメートルと小形で、水辺の草原に生息している。
[今泉忠明]