エンジニアリング・エコノミー(読み)えんじにありんぐえこのみー(英語表記)engineering economy

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

エンジニアリング・エコノミー
えんじにありんぐえこのみー
engineering economy

特定の技術的制約のもとで経済目的をもっとも効果的に達成することのできる手段や行動案を選択、決定するための理論および手法EEと略称したり、経済性工学と訳したりすることがある。もっとも代表的な具体的内容は、企業について長期的利潤を極大化するような手段や行動案を選択、決定する経済モデルである。EEが取り扱う主要な内容としては、(1)設備投資の経済計算、(2)生産資源割当の経済計算、(3)原価と工数低減の経済計算、(4)人的資源の経済計算、(5)品質と原価の経済計算、(6)製品選択の経済計算などがある。設備投資の経済計算の場合をみると、一定の技術的能力をもった設備について、危険と不確実性資本コスト技術進歩による陳腐化(旧式化)などを勘案しながら、投資すべきか否か、投資すべきであるとした場合のもっとも有利な案はどれか、いつ投資すべきか、何年にわたって行うかなどを決定する。この例が代表するように、現在のEEは、技術的制約のもとでの経済分析を通じて、企業の物的・人的資源を計画化し、もって利潤極大化に寄与することを目ざすものである。その手法は経済学会計学数学物理学、工学などの学際性をもっている。EEの起源はかならずしも明確ではないが、思想としては、19世紀末にアメリカ人R・H・タウンが説いた「経済家としての技師」にあることは一致して認められている。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

エンジニアリングエコノミー
engineering economy

企業における各種の工業的,技術的問題の意思決定のために,経済的判断基準を与える方法。対象は,(1) 新規設備投資案,(2) 現有設備の更新,(3) 加工部品の社内外製作の決定,(4) 加工方法,設備改善,(5) 受注するかどうかの選択,(6) 新製品プロジェクトの評価などに及ぶが,特に設備投資の経済計算に多く利用される。スタンフォード大学教授 E.L.グラントらにより体系化された。単独投資の競争設備との比較評価方式としてはマピー法が有名であり,最近は複合投資計画の経済計算にも取り入れられ,盛んに利用されている。

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