オルバースのパラドックス(英語表記)Olbers' paradox

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

オルバースのパラドックス
Olbers' paradox

宇宙における恒星分布無限遠まで一様で,その光度が場所によらないとすると,夜空は無限に明るく輝くことになるというパラドックス。1826年ウィルヘルム・オルバースが提唱した。観測者を中心として,ある距離にある球殻内の 1個の星からくる光の量は球殻までの距離の 2乗に反比例して減少するが,球殻内にある星の数は距離の 2乗に比例して増加するので,この球殻内にある星の光を集めた明るさは球殻までの距離によらず一定の値をもつと考えられた。したがって,このような球殻を次々と無限遠まで重ね合わせると,観測者の見る空の明るさは無限大になるというパラドックスの前提が成立しているように思われる。このパラドックスの解決のため,宇宙空間に光を吸収する物質があると考えられたが,吸収物質が光を吸収しても必ず再放出するので解決にはならない。事実は,宇宙の奥行は無限遠ではなく,また宇宙の膨張により遠く銀河ほど赤方偏移が大きく,光の強度が弱まっているのである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android