お国歌舞伎(読み)おくにかぶき

改訂新版 世界大百科事典 「お国歌舞伎」の意味・わかりやすい解説

お国歌舞伎 (おくにかぶき)

出雲のお国の創始した芸能。1603年(慶長8),京都において出雲お国と称する女性芸能者が,当時横行していたかぶき者と呼ばれる意気がった若者たちの,茶屋女に通う姿に男装して扮し,流行歌や踊をまじえて演じ,歌舞伎踊として人気を博した。これが歌舞伎という芸能の始まりとなる。流行の先端を行く衣装や黄金造りの太刀,黄金の十字架水晶数珠などを身につけたお国の華麗なかぶき姿は,当時の豪奢な好みを反映して,ただちにこれをまねる女芸人が続出した。初期のお国の歌舞伎は,この現代風俗ものまねに,〈猿若(さるわか)〉と呼ばれた,司会役もかねた道化役の滑稽芸をからませ,あいだに狂言師による能狂言や,女たちの小歌踊をはさんだものであったが,のち,かぶき者として名を売り,喧嘩で斬り死にした名古屋山三郎亡霊を登場させるなどの演出も工夫したものと思われる。1612-13年(慶長17-18)ごろまで行われていた。
歌舞伎草子
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百科事典マイペディア 「お国歌舞伎」の意味・わかりやすい解説

お国歌舞伎【おくにかぶき】

歌舞伎の一形態。1603年ごろ,出雲大社巫女(みこ)お国と称する女が京都で演じた芸能をいう。男装の女による群舞寸劇など,当時世間を横行していたかぶき者(体制からはずれた異端者たち)の風俗を取り入れた〈歌舞伎踊〉を演じて人気を集め,各地同種女歌舞伎を続出させた。
→関連項目出雲のお国名古屋山三

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