歌舞伎草子(読み)かぶきぞうし

世界大百科事典 第2版の解説

かぶきぞうし【歌舞伎草子】

〈歌舞伎草紙〉とも表記される。初期のお国歌舞伎女歌舞伎を題材にし,絵と詞書(ことばがき)とで構成した肉筆彩色の草子・絵巻の総称。江戸時代初頭に製作されたものであるが,明確な年代や筆者は不明。当時の芸能の実態,劇場の構造,観客の風俗などを写生的に描いてあるので,〈お国歌舞伎図屛風〉〈洛中洛外図屛風〉などとともに貴重な資料である。これに,2系統がある。(1)お国歌舞伎で行われていた念仏踊や茶屋あそびの踊りを素材とし,これに出雲のお国・名古屋山三のはなやかな伝説を加味して,一種の絵物語に仕立てたもの。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

歌舞伎草子
かぶきぞうし

「歌舞伎草紙」とも書かれる。初期の阿国(おくに)歌舞伎や女歌舞伎を題材として、彩色の絵と詞書(ことばがき)とで構成されている肉筆の草子類の総称。いずれも江戸初期の作と思われるが、正確な年代や筆者は不明である。絵は町絵師によって描かれたと思われる。初期歌舞伎の劇場や舞台の実態、観客の風俗などを知るために貴重な資料。2系統の作が現存する。
(1)阿国歌舞伎の舞台で演じられていた芸能を素材に、出雲(いずも)の阿国と名古屋山三(なごやさんざ)との関係を加えて一種の絵物語に仕立てたもの。阿国が念仏踊を踊っているところへ、名古屋山三の亡霊が訪ねてきて、ありし昔を懐かしんでともに歌舞伎踊を踊るという筋。京大本『国女歌舞伎絵詞』、松竹大谷図書館本『かふきのさうし』、大和(やまと)文華館本『阿国歌舞伎草紙断簡』はこの系統の作。
(2)文芸的虚構を加えず、女歌舞伎踊の舞台面に、踊りの詞章を記したもの。徳川黎明会(れいめいかい)蔵の通称『采女(うねめ)歌舞伎草紙絵巻』がこれである。[服部幸雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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