日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバルカンティ」の意味・わかりやすい解説
カバルカンティ
かばるかんてぃ
Guido Cavalcanti
(1259ころ―1300)
イタリアの詩人。代々ゲルフ党(教皇派)に属するフィレンツェの名家の出身で、ダンテと親交を結び、現存する詩52編のなかには、ダンテやグイットーネ・ダレッツォに宛(あ)てられたソネット(十四行詩)も36編収められている。ダンテを除けば清新体派のもっとも重要な詩人で、ダンテ自ら『新生』をカバルカンティに捧(ささ)げている。ただし、カバルカンティは「愛(アモーレ)」のうちに至上の喜びと隣り合わせた死の存在を認めており、彼の作品にはつねに暗い影がつきまとっている。フィレンツェ市政の要職につき、ドナーティ家と鋭く対立して、1300年6月にはサラザーナに流刑されたが特赦によって2か月後にフィレンツェに帰り、その年のうちに没した。
[河島英昭]