日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガラスの動物園」の意味・わかりやすい解説
ガラスの動物園
がらすのどうぶつえん
The Glass Menagerie
アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの出世作となった二幕戯曲。1945年初演。不況時代のセントルイスの安アパートに住む、南部育ちの社交的な母親アマンダ、極度に内気な姉のローラ、倉庫勤務で詩人志望の弟トムの3人家族の家庭劇。母が劣等感の強い娘に強引に結婚相手をみつけようとして失敗し、母の束縛に反発するトムが愛する姉への思いを振り切って家出するまでの過程を、後年のトムが追憶という形で観客に語りかけて舞台に展開させていく、詩情豊かな作品。題名は、ローラが収集しているガラス細工の動物の飾り物のことで、もろいが美しい彼女の姿を象徴する。
[鳴海四郎]
『田島博訳『ガラスの動物園』(新潮文庫)』