ギヨー(読み)ぎよー(英語表記)guyot

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギヨー」の意味・わかりやすい解説

ギヨー
ぎよー
guyot

深海底からそびえたつ海山で、頂上部が平らで広いもの。発見者H・H・ヘスが19世紀のスイス生まれの地質学ギヨーA. H. Guyot(1807―1884)の名にちなんで名づけた。日本では平頂海山ともよばれる。円形または長円形火山性である。かつては頂部を海面上に現していた火山島が、波食によって頂上部が平坦(へいたん)にされたのち、沈降によって海山となったものと考えられている。沈降の原因には種々の仮説があるが、プレートテクトニクスによるのが有力である。

安井 正]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギヨー」の意味・わかりやすい解説

ギヨー
Guyot, Arnold Henry

[生]1807.9.28. スイス,ブドビエ
[没]1884.2.8. アメリカ合衆国,ニュージャージー,プリンストン
スイスの地理学者,地質学者。神学を志したが,ジャン=ルイ・ロドルフォ・アガシーと交わり,科学者の道を選んだ。ドイツでアレクサンダー・フォン・フンボルトやカール・リッターの指導を受けて地理学を修め,1839~48年ヌーシャテル大学で地理と歴史を講じた。1848年アガシーに従ってアメリカ合衆国に渡り,1854~84年プリンストン大学教授。地質学,気象学を研究し,氷河の調査や気象観測業績を残し,アメリカの気象台の設置に力を尽くした。頂部の平らな海山「ギヨー」はアメリカの地球物理学者ハリー・ハマンド・ヘス(1906~69)がギヨーの名にちなんで命名した。主著大地と人』The Earth and Man(1849英訳)。

ギヨー
guyot

平頂海山ともいう。大洋底から 1000m以上そびえ立つ海山のうち,その頂部が海面から 200m以上深く,頂上部が平坦なものをいう。 1946年に H.ヘスが北太平洋で発見,地理学者 A.ギヨーにちなんで命名。その後南太平洋,アラスカ湾,インド洋,大西洋からも続々と発見され,全世界の大洋に広く分布していることがわかった。ギヨーの頂部は 200~2500mの深さにわたるが,多くは 1000~2000mの深さに分布する。頂部に玄武岩の円礫や浅海性の化石があることから,かつて海面に近いところで波食を受けたものが,なんらかの原因で沈降したことを示す。現在までに 1800mの深さのギヨーからは白亜紀,1000mのものから始新世の化石が発見されている。太平洋では西側ほど古い時代のギヨーが分布するとみられ,海洋底拡大説の根拠の一つにされる。

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