海底で噴火がおこってできた火山。中央海嶺(かいれい)には無数の火山が存在する。浅海でできた火山は、噴出物が堆積(たいせき)して海上に出現することがある。しかし、その多くは波浪による侵食などで水没する。1952年(昭和27)に伊豆諸島海域に誕生した明神礁(みょうじんしょう)のように、海上に現れる前に、激しいマグマ水蒸気爆発をしばしばおこす。1934年(昭和9)誕生の鹿児島県硫黄(いおう)島新島や1973~1974年に小笠原(おがさわら)諸島の西之島付近に生じた新島が新しく出現した火山島の例である。水深数百メートルまでの浅海底での噴火は、水面の噴騰、変色、死魚や軽石の浮上などによって認められる。太平洋や、大西洋などの深海でできる火山では、水圧が大きく、噴火はおもに穏やかな溶岩流出型であるため、海上から噴火現象を認めることは困難である。
[諏訪 彰・中田節也]
『青木斌・小坂丈予編『海底火山の謎――西之島踏査記』(1974・東海大学出版会)』▽『小坂丈予著『日本近海における海底火山の噴火』(1991・東海大学出版会)』
海洋底にある火山はすべて海底火山と呼ばれるが,とくに深海底に分布する火山は構成岩石や内部構造などが陸上の火山とはまったく異なる。この種の海底火山は主として玄武岩の溶岩(とくに枕状溶岩)から成り,比高数千mを超える巨大なものも多い。これらはマグマが海洋プレートの上部マントルから直接海底に噴き出したもので,太平洋,大西洋,インド洋などに1万個以上存在する。深海底で起こる火山噴火の徴候が,海面で観察されることはまれである。日本近海でしばしば観察される海底火山の爆発は,みなきわめて浅い海底(ふつう100m以浅)で起こったものであり,火山も日本列島上のものと同じ種類の岩石から成っている。このような浅海底での爆発の結果,多量の軽石が流れ,海水の変色域がひろがり,ときには巨大な水柱を生じるのが見られる。
執筆者:荒牧 重雄
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