日本大百科全書(ニッポニカ) 「クイーンズランド」の意味・わかりやすい解説
クイーンズランド
くいーんずらんど
Queensland
オーストラリア北東部の州。面積172万7200平方キロメートル、人口365万5139(2001)。州都はブリズベン。東岸の狭い海岸低地の西に、東部高地(グレート・ディバイディング山脈)の山地、高原、丘陵が南北に断続的に連なり、内陸部には南西部へ向かって、きわめて緩やかに傾斜する平原が広がる。多くの間欠河川の集中する南西部はチャネル・カントリー(水路地方)とよばれる。年降水量は、北部と東部の海岸地域では1000ミリメートル以上、一部では1600ミリメートル以上に達するが、内陸に向かってしだいに減少し、南西部では200ミリメートル以下となる。年降水量500ミリメートル未満の土地が約2分の1を占める。降水量の多い東岸では、北部と中部にサトウキビ、南部に酪農と肉牛の集約的土地利用がみられるが、降水量の乏しい内陸部では粗放なヒツジと肉牛の放牧が中心で、大鑽井(さんせい)盆地の地下水利用が知られている。州人口に占める州都の割合(45%)は他州ほど高くはないが、東海岸にタウンズビル、ロックハンプトンなどの地方中心都市が発達し、海岸地帯(沿岸から100キロメートル以内)に州人口の84%が集中している。
同州経済は農牧業および鉱業に特化している。農牧業では、他州と同様の小麦と羊毛のほかに、とくに全国生産の大部分を占めるサトウキビと、全国頭数の4割余りを占める肉牛が重要で、関連加工産業も発達している。鉱産物の代表は、中部のボーエン炭田を中心に1960年代以降進展の目覚ましい石炭で、同州鉱産額の約3分の2を占める。このほかマウント・アイザの銅、鉛、亜鉛、ウェイパのボーキサイトなどの採掘と精錬が重要である。主要輸出品もこれらの農畜産物や鉱産物で、日本が最大の輸出先(約4割)である。
1824年、当時のニュー・サウス・ウェールズ植民地に属する流刑入植地として発足し、39年に自由入植地となり、59年に分離して、同時に議会や内閣を伴う自治植民地となった。1901年、他州とともに連邦を結成した。
[谷内 達]
世界遺産の登録
州北東部の熱帯雨林地帯が1988年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」として世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。
[編集部]