クラインフェルター症候群(読み)クラインフェルターショウコウグン(英語表記)Klinefelter syndrome

デジタル大辞泉 の解説

クラインフェルター‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【クラインフェルター症候群】

身体男性であるが、精巣発育障害、女性型の乳房無精子症を示す病気性染色体構成がXXYになったものが多い。米国医師クラインフェルター(H.F.Klinefelter Jr.)が報告。

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

クラインフェルター症候群 (クラインフェルターしょうこうぐん)
Klinefelter syndrome

1942年にクラインフェルターHarry F.Klinefelterらによって記載された性染色体異常。正常人の性染色体,男XY,女XXに対して,XXYとなり,外見は男性であるが,小さな睾丸,無精子症,女性化乳房,さらにゴナドトロピン値の上昇を特徴とする。新生男児の0.2~0.3%にみられ,XXYのほか,XXXY,XXYY,XXXXYなども報告されている。これらの症状は思春期以前にはみられないため,先天異常でありながら,成人になって,女性化乳房や不妊,性生活異常などによって発見されるものが多い。身長は平均値より大きく,知能は正常なものが少なくないが,軽度の知能低下のある場合が多く,この場合X染色体の数が多いほど知能の発達障害が強くなる。また糖尿病甲状腺機能低下症などを合併することもある。治療としては二次性徴の促進のために,ホルモン療法によって男性化を行う。
染色体異常
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六訂版 家庭医学大全科 の解説

クラインフェルター症候群
クラインフェルターしょうこうぐん
Klinefelter syndrome
(遺伝的要因による疾患)

 男性で、性染色体の構成がX染色体2本、Y染色体1本のXXYを示します。出生頻度新生児の男児1000人に1人の割合でみられます。幼児期・学童期にはとくに症状はみられませんが、思春期からの精巣の発達が進まず、精巣が小さく無精子症(むせいししょう)となりますが、外性器の発達はほぼ正常です。男性ホルモンの補充が行われることがあります。

 下肢が長く身長が高く、乳腺がいくらか発達したり、男性にはまれな乳がんの発症がみられることもあり、糖尿病になりやすい体質も伴います。不妊の検査で初めて気づかれることがあります。

 XXY細胞以外にXY細胞がみられるモザイクの場合には、精子形成も認められ、子どもをもつことができる人もいます。

古山 順一, 玉置 知子

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家庭医学館 の解説

くらいんふぇるたーしょうこうぐん【クラインフェルター症候群 Klinefelter Syndrome】

[どんな病気か]
 陰茎(いんけい)の存在など、からだの表現型は男性です。いくつかのタイプがありますが、染色体(せんしょくたい)が47本と正常な人よりも1本多く、性染色体がXXYを示すのが代表的なものです。
 男子の出生500人に1人の割合で生まれるといわれています。
 小さな睾丸(こうがん)、女性化乳房、無(む)(乏(ぼう))精子症(せいししょう)をともない、軽い精神発達遅滞(せいしんはったつちたい)がみられることがあります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

クラインフェルター症候群
クラインフェルターしょうこうぐん
Kleinefelter's syndrome

1942年にアメリカの医師 H.F.クラインフェルターらが指摘した,女性化乳房,矮小睾丸,精細管の硝子様変性,高ゴナドトロピン尿症を特徴とする症候群。しかし,その後この症候群の定義をめぐって混乱し,女性化乳房は必発症状でなくてもよい,中等度の類宦官症は包含するなど,その範囲が学者により一定していない。現在ではこの症候群は性染色体型によって決定され,睾丸の萎縮による機能障害はその結果であると考えられている。

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世界大百科事典(旧版)内のクラインフェルター症候群の言及

【遺伝病】より

…染色体の数が47になるものとしては,たとえばダウン症候群(蒙古症ともいう。21番目の常染色体が1個余分にある),クラインフェルター症候群(性染色体がXXYの構成となる)などがある。染色体数が45になるものとしてはターナー症候群(性染色体がX1個だけ)がある。…

【癌】より

…両側性の網膜芽細胞腫がその例で,染色体の13qに欠損がある。メンデル式遺伝ではないが,先天的に常染色体の異常があり,癌を発生しやすい病気として,ダウン症候群(白血病),クラインフェルター症候群(乳癌)その他がある。また常染色体劣性遺伝病として,癌を多発するものとして,色素性乾皮症(皮膚癌),毛細血管拡張性失調症(悪性リンパ腫や白血病),ブルーム症候群(白血病)などがある。…

※「クラインフェルター症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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