改訂新版 世界大百科事典 「クリアレギス」の意味・わかりやすい解説
クリア・レギス
Curia regis
ラテン語で〈国王の会議〉を意味し,中世封建王政の下において,国王が封建諸侯を招いて開催した〈王会〉。カロリング時代の〈諸侯会議Placitum〉を継承したもので,カペー王朝のフランスとプランタジネット朝のイングランドに受け継がれた。広義の王会は,王国内の有力諸侯と高位聖職者を招いて国事を諮問するものであったが,カペー王朝の下では,12世紀のルイ7世,フィリップ2世(尊厳王)の時代に活発な動きを見せたものの,以後衰微し,やがてその機能は全国三部会により取って代わられた。これに対し,狭義の王会は,国王の直臣を中心とする側近の者によって構成され,王領の管理と王国の行政にかかわる事がらにつき,国王を補佐する機関であり,王権の強化を支える重要な機能を果たした。13世紀以降,王国行政がしだいに複雑化したのに伴い,王会より〈高等法院〉と〈会計法院Chambre des comptes〉が分離し,残る部分は〈評議会Conseil〉と呼ばれ,常に国王と共にあって立法・行政の面で国王を補佐した。分化はしたものの,〈王会〉は一体であるとの理念は生きており,全国三部会が機能しなくなったとき,高等法院が国民の代表としての地位を主張したのも,クリア・レギスの継承者というところにその根拠の一端があった。プランタジネット朝のイングランドでも,クリア・レギスは〈大評議会Great council〉と〈小評議会Small council〉に分かれ,後者は中世行政組織の中核として,フランスよりも早く,その機能が分化していった。
執筆者:二宮 宏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報