クロウメモドキ(英語表記)Japanese backthorn
Rhamnus japonica Maxim.

改訂新版 世界大百科事典 「クロウメモドキ」の意味・わかりやすい解説

クロウメモドキ
Japanese backthorn
Rhamnus japonica Maxim.

山地に生えるクロウメモドキ科の落葉低木で,枝の先が変形したとげをもつ。葉は長枝に,ややずれた対生でつくか,短枝に束生し,倒卵形で微細な鋸歯があり,微小な托葉がある。雌雄異株。花は4~5月,長枝または短枝の鱗片の葉腋(ようえき)につき,淡黄緑色で小さい。果実は倒卵状球形の核果で黒く熟し,2~3個の小核をもつ。北海道,本州,四国,九州に分布。クロウメモドキの果実を乾燥したものは鼠李子(そりし)と呼ばれ,漢方下剤として用いる。材は堅く,小器具や細工用に用いられる。また樹皮染料として利用することもある。

 クロウメモドキ科Rhamnaceaeの花は4数または5数性で,萼片は目だつが,花弁は小型で,おしべの外側を包む袋のような形のものが多い。おしべとめしべの間に花盤があり,めしべは子房上位であるが,花盤に埋まるように囲まれている。約45属500種があり,ブドウ科に近縁
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロウメモドキ」の意味・わかりやすい解説

クロウメモドキ
くろうめもどき / 黒梅擬
[学] Rhamnus japonica Maxim. var. decipiens Maxim.

クロウメモドキ科(APG分類:クロウメモドキ科)の落葉低木で変異に富む。枝は灰色、先に短枝が変形した鋭い刺(とげ)がある。葉は広倒卵形、長さ2~8センチメートル。花は黄緑色で、4~5月、当年に出た枝の基部に束状につく。果実は核果で黒く熟す。山地に生え、北海道から九州に分布する。変種エゾノクロウメモドキ(エゾクロウメモドキ)は葉が大きく、裏面の脈の分岐点に毛があるもので、北海道と本州の日本海側に分布する。若葉食用とする。漢方では干した果実を鼠李子(そりし)と称し、下剤とする。クロウメモドキ属は北半球を中心に約100種があり、日本には7種が分布する。同属のクロツバラは刺があってクロウメモドキに似るが、葉が長楕円(ちょうだえん)形で、雌雄異株である。

[門田裕一 2019年12月13日]


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百科事典マイペディア 「クロウメモドキ」の意味・わかりやすい解説

クロウメモドキ

北海道〜九州の山野にはえるクロウメモドキ科の落葉低木。小枝の先は鋭い針となり,葉は柄があって対生またはややずれてつき,短枝では数枚が集まってつく。葉身は卵〜楕円形で先がとがり,縁には鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。4〜6月,葉腋に淡黄緑色で,柄のある4弁の小花が束になって咲く。秋,黒熟する果実は球状で径約6mm,内に1〜3個の小核がある。樹皮の内皮と果実は漢方で下剤に用いられる。近縁のクロツバラは葉が大型で細く,イソノキは雌雄同株で枝に針がない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロウメモドキ」の意味・わかりやすい解説

クロウメモドキ
Rhamnus japonica

クロウメモドキ科の落葉低木。山野に生え日本特産。雌雄異株。多数の枝を出し,短い枝はとげになる。樹皮はなめらかで無毛。葉は広倒卵形ないし狭倒卵形で鈍鋸歯をもち,下部の側脈は長く葉の上部まで達する。6~8月に,葉柄の基部に数個の淡黄緑色の小花が集って咲く。花弁も萼片も4枚で,雄花には4本のおしべ,雌花には1本のめしべがある。果実は堅くほぼ球形で,熟すると黒色になる。果実のつき方がモチノキ科のウメモドキに似ているのでクロウメモドキと呼ばれる。

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