ドイツの小説家,劇作家,抒情詩人。筆名ペーター・シュレミールPeter Schulemihl。バイエルン州のオーバーアマーガウに営林官の息子として生まれ,法律を学び,ミュンヘン,ダッハウで弁護士となる。かたわら社会風刺雑誌《ジンプリチシムス》の編集者として官僚・聖職者社会の腐敗に対して論陣を張り,また方言作家として無知な民衆の側に立ちながら,頑迷な小市民生活・農民生活を俎上にのせた多数の社会批判的著作をあらわした。ゆがんだ大人の世界を悪童の目から描いた《悪童物語》(1904),その続編《新悪童物語》(1906),喜劇《道徳》(1908初演),悲劇《マクダレーナ》(1912初演)などが有名。とくに〈民衆劇〉と銘打たれ,人間の行為や思考を規定する農村モラルの犠牲者となって破滅していく父娘の悲劇を描いた《マクダレーナ》は,西ドイツの現代民衆劇作家M.シュペルやF.クレッツらの方言劇の先駆的作品として,近年再評価されている。
執筆者:越部 暹
フランスの社会主義者。高等師範学校卒業,リセ教授。ジョレスの《ユマニテ》創刊とともに編集陣に加わり,第1次大戦前,フランス社会党の代表的論客となった。その立場は,労働組合,協同組合,社会主義政党の行政への介入によって漸次的な社会改良と抜本的な社会変革がともに可能になる,とするもので,この観点がミルラン入閣支持,サンディカリスム擁護という一見矛盾する主張を行わせた。統一以後の社会党で中央執行委員,1910年から同党選出国会議員。また協同組合運動家として,超党派的な全国消費組合連合を結成,さらにその国際組織を指導した。第1次大戦勃発後,行政参加,企業国有化の好機として軍需物資調達計画の立案に協力,のちに軍需相に就任した。戦後は,戦時経済に関する国際的権威として評価を得て,国際連盟の枠内で経済復興を担当,この間,国際労働機関ILOの設立に尽力して,死に至るまで初代事務局長を務めた。
執筆者:相良 匡俊
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ドイツの画家、版画家。シュワルツワルトのベルナウに生まれる。初め石版画の手ほどきを受け、また漆工として働いたあと、カールスルーエおよびデュッセルドルフ美術学校に学ぶ。1868年パリに旅してクールベおよびバルビゾン派の影響を受ける。70年ミュンヘンに移住してウィルヘルム・ライプル、ベックリンらと交友。74年イタリア旅行でマレースと知る。77年フランクフルトで名声をあげ、99年カールスルーエ美術学校教授に迎えられ、同地に没。様式は多様であるが、写実的な風景、人物、静物に優れ、石版画の興隆に貢献した。代表作『ライン河畔』(1875)。
[野村太郎]
ドイツの作家。バイエルンのオーバーアメルガウに生まれる。ペーター・シュレミールPeter Schlemihlの筆名もある。父は営林官。林学専攻のあとミュンヘン、エルランゲンで法律を修め、ダッハウで弁護士を開業。かたわら『ジンプリツィシスムス』誌を編集、写実的手法で風刺小説を執筆。僧侶(そうりょ)社会の道徳欠如と隷属根性を揶揄(やゆ)し、市民、農民の俗物根性を痛撃する。代表作は『アンドレーアス・フェスト』『男やもめ』『道徳』『悪童物語』など。バイエルン方言を織り込み、俗悪な社会を軽妙洒脱(しゃだつ)な筆致で活写する。生涯郷里に住み、土地の旧弊と俗習を辛辣(しんらつ)につく。その反面、土地の環境から離れては生活できない人々に温かいまなざしを注いでいる。
[古賀保夫]
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1878~1932
フランスの政治家。第一次世界大戦前,社会党代議士となり,大戦中は挙国一致内閣の軍需相を務めた。徹底した改良主義者として,戦後は国際労働機関の事務局長として活躍した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…流域には便宜的な区別がなされており,最上流部の主要な2流域を前ライン(フォルダーライン),後ライン(ヒンターライン),両者の合流点からボーデン湖まで(165km)をアルプスライン,ボーデン湖からバーゼルまで(140km)を高ライン(ホッホライン),バーゼルからビンゲンまで(330km)を上ライン(オーバーライン),ビンゲンからボンまで(100km)を中ライン(ミッテルライン),ボンから河口まで(370km)を下ライン(ニーダーライン)と呼んでいる。 前ラインはオーバー・アルプ峠付近の氷河圏谷の湖,トーマ湖(標高2344m)から流れ出す。一方,後ラインはトーマ湖の南東方約40kmのアドゥーラ山群ラインワルトホルンRheinwaldhorn(3405m)の氷河を源とする。…
…
[課題]
ILOは1969年の創立50周年にノーベル平和賞を授与された。労働者の国際的保護のための地道な努力がこの栄誉を受けた理由であるが,ILOの威信も無関係でないとすれば,初代総長(1919‐32)のフランス人アルベール・トーマに触れるべきであろう。トーマの高い見識と卓越した指導力が今日のILOの基礎を築いた。…
※「トーマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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