日本大百科全書(ニッポニカ) 「こぐま座」の意味・わかりやすい解説
こぐま座
こぐまざ / 小熊座
真北に輝いている北極星を含む星座。7個の星が北斗七星を小さくしたような形をしており、北斗七星の大柄杓(おおびしゃく)に対し小柄杓とよばれることもある。一年中いつでも見ることができるが、宵の見ごろといえば春のころとなる。α(アルファ)星である北極星の見える高さは、その土地の緯度に等しくなっている。たとえば北緯35度の場所なら、真北の35度の高さのところに輝いて見える。ギリシア神話では、大神ゼウスとニンフ(妖精)カリストの間に生まれた猟師アルカスの変身した姿だとされている。ゼウスの妻へラの怒りをかい大熊にされたカリストを、アルカスが射殺そうとし、この2人の運命を哀れんだゼウスにより、アルカスも星空にあげられ小熊にされたという。
日本では北極星のことを北の星という意味で、「子の星(ねのほし)」「北辰(ほくしん)」「妙見(みょうけん)」「北極さま」などとよび、江戸時代の『物類称呼』には「北極はうごかぬ星」と記されている。ところが、日周運動で写真に写して観察してみると、天の北極の周りを小さな円を描いて写ることがわかる。これは北極星が現在1度弱ほど天の北極からずれているためである。
[藤井 旭]
『藤井旭著『春の星座』(1989・金の星社)』▽『瀬川昌男著『春の星と星座』(1997・小峰書店)』▽『えびなみつる著『はじめての星座案内――見ながら楽しむ星空の物語』(2001・誠文堂新光社)』▽『林完次写真・文『星をさがす本』(2002・角川書店)』