カリスト(読み)かりすと(英語表記)Callisto

翻訳|Callisto

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリスト」の意味・わかりやすい解説

カリスト(木星の第四衛星)
かりすと
Callisto

木星の第4衛星。ガリレイが1610年に発見した4個のいわゆるガリレオ衛星一つである。木星の中心からおよそ188万キロメートルのところを16.6890日で公転している。直径4820キロメートルで、木星の衛星中でガニメデに次いで大きく、質量地球の0.0159倍、密度は1.81と比較的小さく、表面には厚い氷の地殻があると考えられている。ボイジャー探査機により多くクレーターなどの地形が観察された。

[村山定男]



カリスト(ギリシア神話)
かりすと
Kallistō

(1)ギリシア神話で、狩猟をつかさどる処女アルテミスに仕えるアルカディアニンフ(あるいはリカオン王の娘)。ゼウスに見そめられて、むりやりその愛を受け、息子アルカスを産むが、純潔の誓いが破られたのを怒ったアルテミス(あるいは嫉妬(しっと)したヘラ、またはヘラの目を恐れたゼウス自身ともいう)により熊(くま)に変えられた。一方、成長したアルカスは、母とも知らずにこの熊を槍(やり)でしとめようとするが、ゼウスの計らいによりその直前に母はおおぐま座に、息子はうしかい座に変身させられたという。

(2)ギリシア神話の英雄オデュッセウスの姉妹のこと。

[丹下和彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリスト」の意味・わかりやすい解説

カリスト
Kallisto

ギリシア神話のニンフ。アルカディアに住み,アルテミスに従って,処女のまま狩猟に日をおくっていたが,アルテミスの姿をかりて彼女に近づいたゼウスによって貞操をけがされ,妊娠したために,処女女神アルテミスの怒りに触れて雌ぐまに姿を変えられてしまった。彼女から生れた息子アルカスは,成長して彼の名にちなみアルカディアと命名された地方の王となったが,ある日,山中で狩りをしているときに雌ぐまのカリストと出会い,母と知らずにこれを射殺しようとしたので,ゼウスは母殺しの罪が犯されるのを防ぐため,アルカスもくまに変え,母子をともに天に上げて,カリストを大熊座,アルカスを小熊座にしたという。

カリスト
Callisto

木星 IVとも呼ばれる木星の第4衛星。 1610年に発見されたガリレイの四大衛星の一つ。実視等級6等,直径約 4890km,公転周期は約 16.7日。 1979年ボイジャー1,2号によって表面の写真が撮られ,隕石孔のほかに,水星の盆地に似た大リング構造の存在が明らかになった。

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