コナギ(読み)こなぎ

改訂新版 世界大百科事典 「コナギ」の意味・わかりやすい解説

コナギ
Monochoria vaginalis (Burm.f.) Preslvar.plantaginea (Roxb.) Solms-Laub.

水田雑草になるミズアオイ科の一年生の水草。高さ10~30cmになり,葉をむらがり出す。広披針形から三角状心形の葉身は長さ3~7cm。総状花序葉鞘(ようしよう)から出て,夏から初秋に数個の花をつける。花は青紫色,花後に花序は反曲し,垂下する。

 本州以南,朝鮮,中国に分布する。母種のM.vaginalisは,東南アジアに広く分布し,やはり水田や水路池傍の水草である。大型の多年草で,時に高さ1mになる。この種はマレーシア地域で野菜として食用にされ,根は咳などの民間薬にされる。

 ミズアオイ科Pontederiaceaeは,すべて柔質の水草からなり,約5属40種ほどが,熱帯を中心に分布している。ホテイアオイのような水面を浮遊する特異な生活形をする水草がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コナギ」の意味・わかりやすい解説

コナギ(小菜葱)
コナギ
Monochoria vaginalis var. plantaginea

ミズアオイ科の水生一年草で,アジアの温帯から熱帯に広く分布する。北海道を除く日本各地の水田や池などに普通に自生する。茎は5~6本群生し,長い柄のある根生葉は長さ5~7cm,幅 3cmほどの三角状卵形で,基部は心臓形をなす。花穂は鞘の形をした柄のある1枚の包葉をもち,数花を総状につける。花は青紫色で径 2cm内外あり,花被片とおしべ各6個と1本のめしべがある。そのうち1本のおしべだけは花糸鉤状突起が目立つ。花後,花穂は根もとから曲って下向きになる。 蒴果楕円体先端がとがり,細かな種子が多数入っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コナギ」の意味・わかりやすい解説

コナギ
こなぎ / 小菜葱
[学] Monochoria vaginalis (Burm.f.) Preslvar. plantaginea (Roxb.) Solms-Laub.

ミズアオイ科(APG分類:ミズアオイ科)の一年生の水生植物。根葉は数枚、葉身は披針(ひしん)形ないし卵状心形、長さ3~7センチメートル、幅1.5~3センチメートル、長柄がある。茎は根葉よりははるかに短く、1枚の葉および3~7個の花をつける。花は9、10月に開き、青紫色、径1.5~2センチメートル。水田や池沼に生え、日本各地に自生し、東アジアおよび東南アジアに広く分布する。茎や葉は食用になる。

[清水建美 2019年6月18日]

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百科事典マイペディア 「コナギ」の意味・わかりやすい解説

コナギ

ササナギとも。本州〜沖縄,東南アジアに分布し,池,水田などにはえるミズアオイ科の一年生水草。葉は厚く光沢があり,卵円〜卵状披針形で,20cm内外の柄がある。晩夏〜秋,青紫色の径2cmの花が総状に集まって咲く。花被片6枚。おしべは6本,うち5本は花被より著しく短く,他の1本は大型で,花糸にかぎ状突起がある。近縁に花や葉が大きく,花序が葉よりも高くつくミズアオイがある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「コナギ」の解説

小菜〓 (コナギ)
※〓は「艹」の下に「匆」。

学名:Monochoria vaginalis var.plantaginea
植物。ミズアオイ科の抽水性一年草,薬用植物

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