質量m,電荷qの粒子は,磁束密度Bの中で角振動数ωc=qB/mの円運動(サイクロトロン運動)を行うが,その振動数(円運動の周期の逆数)と同じ振動数の電磁波を当てると共鳴してエネルギーを吸収する。この現象をサイクロトロン共鳴という。結晶中の電子や正孔の場合は,その有効質量が上述の式中のmに相当し,磁場の下にある試料に磁場と垂直な振動電場(マイクロ波,または長波長の赤外線)をかけると,その角振動数がちょうど上記のωcに等しいとき,粒子は共鳴的に加速され,その結果電磁波の吸収が観測される。そのときのωcとBの値から有効質量を決定することができ,この有効質量の測定手段をサイクロトロン共鳴ということも多い。ただし,結晶中の電子は不純物や格子振動によってたえず散乱されており,次の散乱までの間に少なくとも数rad程度回転できる条件下にないと,はっきりした共鳴は見られない。有効質量が異方性を示す場合もあるが,そのときはωcの磁場方向による変化を調べて解析する。なお,金属では表皮効果のため高周波電場は試料内部に入れないので,上記の手段をそのままでは使えないが,表皮効果を逆に利用して類似の共鳴(アズベル=カナー効果)を得ることができる。
執筆者:黒沢 達美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
磁束密度Bの磁場中の荷電粒子(質量m,電荷q)は,磁場に垂直な平面内で,一定角速度(角振動数)
で旋回(サイクロトロン)運動を行う.ωをサイクロトロン振動数とよび,これに等しい角振動数の電磁波を共鳴吸収する現象.その際に加速されて旋回運動の半径(軌道半径)が増大する.荷電粒子が電子のとき電子サイクロトロン共鳴(electron cyclotron resonance,ECR),イオンのときイオンサイクロトロン共鳴(ion cyclotron resonance,ICR)とよぶ.ICRを利用した質量分析法がある.ECRは核融合炉のプラズマ加熱に使われる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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