日本大百科全書(ニッポニカ) 「サセックス石」の意味・わかりやすい解説
サセックス石
させっくすせき
sussexite
マンガン(Mn)の含水ホウ酸塩鉱物。ザイベリー石のMn2+置換体に相当する。両者でザイベリー石系を構成する。自形は未報告。形態的には繊維状あるいは針状。変成層状マンガン鉱床中に産し、日本では比較的高品位のマンガン鉱石に伴われ、しばしば細脈をなす。栃木県鹿沼(かぬま)市発光路(ほっこうじ)鉱山(閉山)、高知県香美(かみ)市松尾鉱山(閉山)などから報告されている。
共存鉱物は菱(りょう)マンガン鉱、ハウスマン鉱、パイロクロアイト、マンガン橄欖(かんらん)石(テフロ石)、アレガニー石など。同定は繊維状の外観、繊維の柔軟性、風化した場合に生ずる二酸化マンガンの黒色のしみによる。日本では共存するマンガン鉱物はすべてMn含有量の高い鉱石鉱物ばかりである。過剰の水分を含むものがあり、ホウ素(B)の一部がB⇔H3の形で置換されているため、理想値よりB2O3が低く、H2Oが高い。岩手県九戸(くのへ)郡野田(のだ)村野田玉川鉱山(閉山)で産した。命名は原産地フランクリン・ファーネスFranklin Furnaceのあるアメリカ、ニュー・ジャージー州サセックスSussex郡に由来する。
[加藤 昭 2016年9月16日]