日本大百科全書(ニッポニカ) 「サッパ」の意味・わかりやすい解説
サッパ
さっぱ / 拶雙魚
Japanese scaled sardine
[学] Herklotsichthys zunasi
硬骨魚綱ニシン目ニシン科に属する海水魚。北海道以南、本州各地を経てフィリピン方面に分布し、沿海や内湾にすむ。全長18センチメートルに達し、体は細長く、著しく側扁(そくへん)し、稜線(りょうせん)が発達する。鱗(うろこ)がはがれにくく、背部は青緑色、腹部は銀白色を帯び、近縁のコノシロと似ているが、コノシロのように背びれの最後の軟条は糸状に伸びない。主としてプランクトンを食べ、6~7月ごろ内湾で産卵する。定置網、地引網で漁獲され、総菜料理として用いられる。小骨が多いが美味であり、岡山県倉敷地方では古くからこの魚の酢漬けを「ままかり」と称して賞味する。この名は「あまりにもおいしいので食が進み、隣家でご飯を借りた」ということに由来するといわれる。
[浅見忠彦]