地方自治体が住民生活や地域の利便のために経営する企業。上水道、下水道、病院などのほか、鉄道やガス、観光施設など、公益性が高い事業を手掛けている。料金収入による独立採算が原則だが、自治体の一般会計から繰り入れて赤字を
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地方公共団体の経営する企業をいう。その大部分は公益事業,すなわち,住民の生活基盤を成す必需性の高いサービスを提供し,かつ大規模な固定資本設備を要するため地域的独占を生みやすい事業である。現在主たる地位を占める事業は,水道,交通,病院,下水道であり,第2次大戦前の電気,ガス事業は,戦後に民営化が進み,その比重は大幅に低下した。原則として事業ごとに特別会計を設けて経理されるが,1952年公布の地方公営企業法によりその自立性はいっそう強化された。そこでは,独自の権限を有する管理者の設置,企業会計方式の採用等,企業としての合理的かつ能率的運営を促す種々の規定が設けられている。しかも,そのうち典型的7事業(水道(簡易水道を除く),工業用水道,軌道,自動車運送,地方鉄道,電気,ガス)についてはその全規定が,また病院事業については財務規定等のみが適用を義務づけられている(なお狭義にはこの7事業のことを地方公営事業という)。地方公営事業の経営に伴う費用のうち,水道事業における消防用水供給費用のように住民全体で負担すべき部分は,一般会計等からの繰入れが認められる。しかし,それ以外の費用については,料金等の事業収入で賄うという独立採算制がたてまえとされている。ただし料金の決定および改定は,監督官庁への届出やその許認可が必要なため,国の経済政策に左右されがちである。
執筆者:大川 政三
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地方公共団体(都道府県市町村)が経営する公益的な事業をさし、〔1〕水道、〔2〕工業用水道(簡易水道事業を除く)、〔3〕軌道(例、市電)、〔4〕自動車運送(例、市バス)、〔5〕地方鉄道(例、地下鉄)、〔6〕電気、〔7〕ガス、をはじめ、病院、港湾整備、宅地造成などの各事業を含む。その範囲は広く、しだいに拡大する傾向にある。上記のうち、〔1〕~〔7〕については、地方公営企業法が適用される。第二次世界大戦後、住民福祉の充実の方向に沿って、地方公営事業は拡大していったが、高度成長期には放漫経営もあって、累積赤字が激増した。これを救済するため、自治大臣の諮問機関であった地方公営企業制度調査会の答申に基づき、同法が大幅に改正された(1966)。同法は、地方公営企業が経済性を発揮しながら、本来の目的である公共の福祉を増進することを原則としている。そのうえにたって、地方公営企業の組織、財務、人事管理、労使関係についてあり方を定めている。とくに累積赤字の処理については、前記の大改正時に財政再建の章を設け、累積赤字棚上げのための財政再建債の発行、同債に対する国の利子補給などを定めている。
[森本三男]
(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)
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…この禁止規定に違反する争議行為は,一律に民・刑事免責を失うものでなく,各規定の趣旨に照らして免責の有無が判断される。 公務員,国営企業等および地方公営企業の職員の争議行為は全面的に禁止される(国家公務員法98条,地方公務員法37条,国営企業労働関係法17条および地方公営企業労働関係法11条)。そして違反に対しては刑事罰・免職を含む重い制裁を科している。…
※「地方公営企業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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