ユグルタ(読み)ゆぐるた(英語表記)Jugurtha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユグルタ」の意味・わかりやすい解説

ユグルタ
Jugurtha

[生]前160頃
[没]前104. ローマ
北アフリカ,ヌミディアの王 (在位前 118~105) 。ローマ帝国の属国であったヌミディア王ミキプサの甥であったが,ローマ軍に従軍して元老たちと親交を結び,その力で伯父王ミキプサの養子となり,その死後,前 118年2人のいとことともに王国を統治。のちその一人を殺害,ローマ官吏を買収して王国を2分し,みずからは豊かな西部を治めた。前 112年残りのいとこの東部を攻めその首都を落したが,イタリア商人を虐殺したことからローマと戦争に入り,アウルス・アルウィヌス (前 109) ,メテルス・ヌミディクス (前 109/8) ,G.マリウス (前 107) らのローマ遠征軍と戦い,ゲリラ戦を展開して成功を収めた。しかし前 105年ついに,盟友マウレタニアの王ボックス1世の裏切りによって捕えられ,マリウスの副官 L.スラに引渡され,翌年ローマで処刑された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユグルタ」の意味・わかりやすい解説

ユグルタ
ゆぐるた
Jugurtha
(?―前104)

北アフリカのヌミディア王(在位前118~前104)。ヌミディアの王ミキプサの甥(おい)であったユグルタは、王の実子らと並ぶ王位継承予定者となっていたが、王の死(前118)後、旧来の対ローマ従属政策からの転換を目ざし、反体制派を糾合して王の実子らと対立内戦のすえ、単独支配者となった。この間ユグルタは、ローマの介入を防ぐべく元老院内の知己を通じてローマ政界工作を進めた。これがかえってローマ民衆派の反元老院・反ユグルタ運動を招く結果となり、紀元前111年、ついにローマとの全面戦争に突入(ユグルタ戦争)した。緒戦においてはしばしばローマ軍を窮地に陥れ、いったんは停戦に持ち込んだものの、ローマ側の戦争遂行体制が固まるにつれて戦局は不利となった。とりわけ前107年マリウスがローマ軍司令官となるに及んで、ユグルタはヌミディア国内の拠点を失った。前105年、同盟者であるマウレタニア国王ボックスBocchusの裏切りによりローマ軍に引き渡され、処刑された。

[栗田伸子]

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