ロシア出身の彫刻家。スモレンスクに生まれ,ロンドンで美術を学んだ後,1909年にパリに出る。はじめロダンに傾倒するがまもなくリプシッツ,ローランスH.Laurens,ガルガロP.Gargalloらと知り,キュビストのグループに近づく。第1次大戦従軍時の事故とロシア革命による生家の没落に失意するが,20年ころから意欲を回復,20年代後半よりキュビスムの影響を脱して,生命力を重んじ,動きをはらんだ造形を築き始める。31年のギリシア旅行は彼の芸術に大きな影響を与え,古典彫刻の荘厳さを新しい様式に復活させた。41-43年ニューヨークに戦難を避ける。第2次大戦後は,ロッテルダムなどに記念像を多く残した。戦前は二科会外国会員で,59年には展覧会を機に来日した。
執筆者:八重樫 春樹
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フランスの彫刻家。ロシアのスモレンスクに生まれ、主としてフランスで制作活動し、1921年フランス国籍を取得した。最初ロンドンの工芸学校に、ついで1909年パリの美術学校に学ぶが、半年で退学。15年ころより黒人彫刻とキュビスムの影響下に、対象を面に分解・再構成した作品を制作するが、彼の叙情的素質は、厳密な幾何学的構成になじまず、20年ころからはより有機的・力動的な形態とキュビスム風の構成を一体化する。その後、彼の表現はいっそうバロック的、表現的となり、複雑な形態の組合せ、随所に設けられた空隙(くうげき)部などによって動的な世界を示した。第二次世界大戦中に制作された『囚人』(1943)、あるいは連作としてさまざまなバリエーションをもつ『オルフェウス』、ドイツ軍爆撃による死者たちのためのロッテルダム市の記念碑『破壊された都市』(1953)などが代表作。
[中山公男]
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