シャーリー(読み)しゃーりー(英語表記)James Shirley

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャーリー」の意味・わかりやすい解説

シャーリー
Shirley, James

[生]1596.9. ロンドン
[没]1666.10.29. ロンドン
イギリス劇作家ケンブリッジ大学に学び,ハーフォードシャー,セントオールバンズでイギリス国教会(アングリカン・チャーチ)の牧師グラマー・スクール校長となったが,のちカトリック改宗。やがてロンドンに出て,1625年から 1642年までに約 40編の戯曲を書き続けた。現存する悲劇 7編(『反逆者』The Traytor〈1631〉など),風習喜劇 10編(『快楽夫人』The Lady of Pleasure〈1635〉など),ロマンス喜劇 14編(『ぺてん』The Imposture〈1640〉など)のほか,仮面劇(『平和の勝利』The Triumph of Peace〈1634〉など)にも同様の優雅さと流暢さをみせた。独創性はないが,過去の技巧的遺産を巧みに取り入れて「最後のエリザベス朝作家」と呼ばれる。

シャーリー
Shirley, William

[生]1694.12.2. サセックス,プレストン
[没]1771.3.24. マサチューセッツ,ロックスベリー
イギリスの軍人。アメリカ植民地時代のマサチューセッツ湾植民地総督。北アメリカにおけるイギリスの対フランス諸戦争に重要な役割を果した。 1731年アメリカに移り,41年総督に就任。 40~48年のジョージ王戦争でイギリス軍を指揮し,45年ルイスバーグを占領。 55年イギリスの植民地軍指揮官となったが,ナイアガラ要塞攻撃に失敗,イギリス本国に召喚された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャーリー」の意味・わかりやすい解説

シャーリー
しゃーりー
James Shirley
(1596―1666)

イギリスの劇作家。ケンブリッジ大学卒業後、教職を経て、1625年ごろ劇作生活に入る。多作ながら、つねに一定水準を上回る作品を生んだ職人的流行作家。ロンドン大火による被災がもとで死亡、聖ジャイルズ・イン・ザ・フィールズ教会に眠る。代表作は、才気あふれる風習喜劇『歓楽夫人』(1635)、残忍な復讐(ふくしゅう)悲劇『枢機卿(きょう)』(1641)など。後者ピューリタン革命がひき起こした「劇場閉鎖」の直前に上演され、イギリス・ルネサンス演劇最後の華といわれる。

[野崎睦美]

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