ジオイド(読み)じおいど(英語表記)geoid

翻訳|geoid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジオイド」の意味・わかりやすい解説

ジオイド
じおいど
geoid

地球の形を代表するものとして思考的に定められた面。これは地球に対して固定した滑らかな閉曲面で、ほぼ地表表面に近いところを通っている。測地学的には「地球を囲む等ポテンシャル面のうちのある特定の一つ」と定義される。これをわかりやすくいうと、ジオイドとして、海上ではほぼ平均海水面に一致する面を、陸地では一般に地面の下になるが、平均海水面延長として、仮想的に海水面がつくるであろう面を考えればよい。

 ジオイドの形を具体的に決めるには、地球表面の重力値をもとにストークス積分といわれる計算をしなければならない。最近では重力測定が広い範囲で精密に実施されているので、人工衛星の運動理論による結果と組み合わせて、かなりはっきりとジオイドの形が求められている。その結果を表すためには、等ポテンシャル面の形を球関数で展開し、その係数数値を表の形で与えることが行われている。これまでにさまざまなモデルがつくられたが、現在は、たとえばEGM96モデル(Earth Gravity Model 1996)がよく利用されている。それによると、ジオイドにはかなりの凹凸があり、たとえば日本海溝付近は、その周囲と比べて20メートル以上も低い凹地になっている。

長沢 工]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジオイド」の意味・わかりやすい解説

ジオイド
geoid

ゲオイドともいう。地球上のある地点の重力の方向に直角な面のうちで,海上での平均水準面と一致するもの。海岸から陸地に細い溝を切込み海水を導くとすれば,その水面がジオイドと一致する。ジオイドは地球の形を示すものの一つであるが,地球の内部構造の影響を受けて凹凸のある曲面を形成し,地球の回転楕円体の形とは一致しない。ジオイドのおおまかな形は,南半球がふくれた西洋ナシの形をしており,扁平率を1/298.25とした地球楕円体に比べ,南極では 24mへこみ,北極では 13.5m飛出している。

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