ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャーヒズ」の意味・わかりやすい解説
ジャーヒズ
al-Jāḥiẓ, Abū `Uthmān `Amr ibn Baḥr al-Kinānī
[没]868/869. バスラ
アラブの文学者,思想家。アッバース朝のカリフ,マームーン以後のバグダードやサーマッラーで長年暮らした。アラビア文学史上第一級の散文作家で,イスラム神学でも独自の学説を立てた。広く文献に通じたほか,社会,自然のあらゆる方面に強い探究心をいだいた。著書は約 200といわれるが,現存するのはその一部にすぎない。『動物の書』 Kitāb al-ḥayawān (7巻) ,『表現の優美さと説明の明快さ』 Kitāb al-bayān wa'l-tabyīn (4巻) ,『けちんぼどもの書』 Kitāb al-bukhālā' (1巻) などは最も大きなもので,ほかにも民族学,動植物学その他の見地から興味深いエッセー (リサーラ) を集めたものなどがある。「アダブ」という中世の文学ジャンルの代表者の一人でもある。
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