スピノル(英語表記)spinor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スピノル」の意味・わかりやすい解説

スピノル
spinor

空間の回転に伴って変換する複素数の 2成分の量。3成分をもつベクトルよりも,回転に対して基本的な性質を表現する。また相対性理論でのローレンツ変換に対しても拡張できる概念である。量子力学において,電子クォークなどスピンが 1/2の粒子を記述するのにも用いられる。この場合,二つの成分はそれぞれ,スピンが上向きの状態と下向きの状態に対応する。相対論的量子力学では,これらの粒子はその反粒子とともに,スピノルを二つ組み合わせた,4成分のディラック・スピノルというもので表される。1928年に理論物理学者ポール・A.M.ディラックにより,相対論的量子力学の方程式であるディラック方程式を表現するために導入された。数学的には,回転群よりもある意味で基本的な SU(2)群の基本表現であり,ベクトルは 2階のスピノルで表される。

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