スカラー(その他表記)scalar

翻訳|scalar

デジタル大辞泉 「スカラー」の意味・読み・例文・類語

スカラー(scalar)

長さ・面積質量温度時間など、大きさだけで定まる数量スカラー量。→ベクトル

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精選版 日本国語大辞典 「スカラー」の意味・読み・例文・類語

スカラー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] scalar ) 長さ、面積、重さなど、大きさだけで定まる量。常識上の数。ベクトルに対していう。スケーラー

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改訂新版 世界大百科事典 「スカラー」の意味・わかりやすい解説

スカラー
scalar

最初は物理学において使われた概念であり,適当に単位を定めることによって実数で表すことのできる量,すなわち大きさしかない量をスカラー量あるいは単にスカラーという。ラテン語の階段,または目盛を意味するscalaからきた。長さ,時間,温度,質量,電荷などがスカラーである。これは力のように大きさと方向をもつベクトルと区別するために用いられる概念である。ベクトルは座標を使って数ベクトルとして表示すると座標の一次変換によってその成分が変化するが,スカラーは一次変換によって不変である。古典的にはこの性質によってスカラーを定義した。

 数学では線形空間ベクトル空間)の係数体の元のことをスカラーという。すなわち体K上で定義された線形空間Vを考える場合,体Kの元のことをスカラーといい,Vの元をベクトルという。また行列では単位行列定数

スカラー行列という。体Kの元を成分とするn×n行列全体はK上のn2次元のベクトル空間をなし,係数体Kの元aを行列Mにかけることは,行列

を行列Mにかけることと同じであることからこのように呼ばれる。
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百科事典マイペディア 「スカラー」の意味・わかりやすい解説

スカラー

適当な単位をきめれば一つの実数で表すことのできる量。長さ,時間,質量,エネルギー,電荷など。ベクトルテンソルと区別してこういう。数学的には,ベクトルは一次変換によってその成分が変化するが,スカラーはすべての一次変換に対し不変な量で,0階のテンソルに相当する。ベクトル空間では,ベクトルの係数体の元をスカラーという。
→関連項目一次独立勾配

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカラー」の意味・わかりやすい解説

スカラー
すからー
scalar

実数のことであるが、ベクトルと対比して使われるときにこの名称を用いる。ベクトルが向き(あるいは方向)と大きさをもっているのに対して、スカラーは大きさだけを表す量であり、向きをもたない。たとえば、距離、時刻、温度を数量化したものはスカラーである。スカラー倍、スカラー積などとしてよく用いられる。

[高木亮一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカラー」の意味・わかりやすい解説

スカラー
scalar

ベクトルテンソルに対する言葉で,単に数値だけで完全に表わされる量。または座標軸の変換に対して不変な量をいう。一般のベクトル空間では,係数体の元をスカラーということもある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「スカラー」の解説

スカラー

1つの数値で示される定数や変数のこと。

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世界大百科事典(旧版)内のスカラーの言及

【ボート】より

…オールを左右2本持って1人でこぐスカルscull方式を区別するときはスカリングという。こぎ手はオアズマンoarsmanといい,スカルの場合はスカラーscullerである。ボートやヨットの競技会をレガッタregattaと呼ぶことがあるのは,ベネチアのゴンドラによる〈競争〉のなごりである。…

【スピノル】より

…電子のように1/2のスピンをもつ状態,さらに一般に任意のスピンをもつ状態を表すために導入された量で,スピノルの名もスピンに由来している。三次元空間を回転させたとき,その中の量は回転に伴って変化するが,その変化のしかたによってスカラー,ベクトル,テンソルなどに区別される。変化しないものをスカラーといい,空間内の変位を表す矢印と同じようにふるまうのがベクトルであり,数個のベクトルの積と同じように変化するのが高階のテンソルである。…

※「スカラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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