すぶた(読み)スブタ

デジタル大辞泉 「すぶた」の意味・読み・例文・類語

すぶた

トチカガミ科一年草水田などに生える。葉は細長く密に根生し、水中でなびく。夏から秋、水面に白い3弁花を開く。

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精選版 日本国語大辞典 「すぶた」の意味・読み・例文・類語

すぶた

  1. 〘 名詞 〙 トチカガミ科の一年草。本州以西の水田、池沼に生える。葉は短い茎の下部から群がって生え、長さ一〇~二〇センチメートルの線形で、縁に鋭く細鋸歯(きょし)があり、淡紫褐色を帯びる。夏から秋にかけて長さ三~四センチメートルの花柄をのばし、水面に白い線形の三弁花を開く。子房上部は長くのびる。種子両端には長いとげがある。〔物品識名拾遺(1825)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「すぶた」の意味・わかりやすい解説

スブタ
すぶた / 簀蓋
[学] Blyxa echinosperma (C.B.Clarke) Hook.f.

トチカガミ科(APG分類:トチカガミ科)の一年生水草。葉は柔らかくて弱く根生し、無柄で線状披針(ひしん)形。長さ10~30センチメートル、幅数ミリメートル、縁(へり)の微鋸歯(きょし)は明瞭(めいりょう)である。8~10月、葉腋(ようえき)から数センチメートルの花茎を出し、上方に円筒状で長さ3~5センチメートルの包鞘(ほうしょう)を1個つけ、中から淡緑色の両性花を1個出す。花弁萼片(がくへん)ともに三枚で線形。種子は楕円(だえん)形で表面にいぼ状の突起が散在し、両端は刺(とげ)状にとがる。水田や溝に生え、本州以西の日本、アジア、オーストラリアに広く分布する。中京地方で女性の乱れ髪のことをすぶた髪というが、これは、スブタの葉が水中で乱れてなびくことになぞらえたものという。

[大滝末男 2018年9月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「すぶた」の意味・わかりやすい解説

スブタ
Blyxa ceratosperma

トチカガミ科の水生一年草。アジア東部から南部およびオーストラリアの温帯から亜熱帯にかけて広く分布し,溝や水田などの浅い水中に生える。茎はきわめて短く,多数のひげ根を出す。葉はすべて根生し,線形で長鋭尖頭,無柄で葉縁に鋸歯がある。夏から秋にかけて,腋生の花柄を出し,頂端に1個ずつ白色花をつける。花柄は花後もさらに伸長する。内,外花被片とも3枚ずつで,おしべは3本,めしべの花柱は3裂する。「すぶた」は名古屋地方の方言で,乱れ髪のこと。密生した葉が水中にあるのをいったもの。

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