スリベン(読み)すりべん(その他表記)Sliven

デジタル大辞泉 「スリベン」の意味・読み・例文・類語

スリベン(Sliven/Сливен)

ブルガリア中東部の都市バルカン山脈南麓に位置する。古代ローマ時代に街道沿いの市場町として発展。オスマン帝国支配の下、17世紀から18世紀にかけて手工業商業で栄え、19世紀には同国初の近代的な繊維産業が始まった。オスマン支配に抵抗したハイドゥクと呼ばれる義賊が活躍したことでも知られる。旧市街には民族復興期の建物が多く残っており、北郊にシニテカムニ国立自然公園がある。また、温泉保養地、ワインの産地として有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スリベン」の意味・わかりやすい解説

スリベン
すりべん
Sliven

ブルガリア中東部、スリベン県の県都。スタラ・プラニナ(バルカン)山脈南麓(なんろく)の都市。人口13万6148(2001)。峠越えの街道の入口にあって、ローマ時代後期に市場として発展した。第二次ブルガリア帝国時代に24の修道院が建設されて宗教、文化的に繁栄したが、14世紀末のオスマン帝国侵入の際に壊滅した。17世紀に手工業の町として再興され、18世紀後半にサンジャク(県)の中心となり、銃器、金属加工、繊維産業や商業地として繁栄した。このころ、毎年6月に1か月続く大規模な定期市も開催され、1832年には織機を導入した最初の近代的な毛織物工場が建設された。しかし、ブルガリア人が経済力をつけてくると、トルコ人と対立するようになり、山に逃亡して抵抗するハイドゥク(義賊)が多数生まれた。繊維業は、現在でも主要産業だが、食品、ワイン醸造などでも知られる。北郊の山地は国立公園に指定されていて、市の南西には温泉も湧出(ゆうしゅつ)し、保養や療養に利用されている。

[寺島憲治]

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改訂新版 世界大百科事典 「スリベン」の意味・わかりやすい解説

スリベン
Sliven

ブルガリアの中東部,同名州の州都。人口13万6148(2001)。機械,電気,木材加工,印刷,ガラス陶器,繊維,建設資材,食品(精肉,牛乳加工,ブドウ酒)などの工場がある。郊外は一面にブドウやモモの果樹園になっている。付近でマンガン鉱も採掘される。市の南西12kmのところに保養地として有名な温泉がある。史跡も多く,観光客の見学旅行コースに入っている。近年の発掘でトラキア人の墓が発見された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スリベン」の意味・わかりやすい解説

スリベン
Sliven

ブルガリア中東部,ブルガス州の都市。 19世紀前半から繊維織物工業の中心として知られ,ほかに木工,ガラス,陶器,印刷,絨毯,電気機器,食肉,缶詰,乳製品,酒造などの工場の多い工業都市。古代末期に商業の中心地として繁栄し,第2次ブルガリア帝国の時代 (1186~1396) には文化的中心地となった。オスマン帝国支配に入って衰退したが,17世紀に手工業の中心都市として発展し,19世紀以降は産業,文化の中心地となった。 1834年,ブルガリア最初の繊維工場が建設された。人口 11万 2220 (1991推計) 。

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百科事典マイペディア 「スリベン」の意味・わかりやすい解説

スリベン

ブルガリア中東部の都市。繊維工業の中心地で,1834年建設の毛織物工場はブルガリア最初の近代的工場。機械・皮革・ガラス工業・ブドウ酒醸造も行われる。9万1620人(2011)。

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