アメリカの吹奏楽指揮者,作曲家。少年時代からワシントンやフィラデルフィアの劇場でバイオリン奏者,指揮者として活躍,1880年海兵隊軍楽隊(大統領の儀礼用)の楽長に就任。92年に辞任して自ら〈スーザ吹奏楽団〉を組織し,アメリカ,ヨーロッパを旅して好評を博した。第1次世界大戦中は海軍軍楽隊訓練所長として復役し,軍楽少佐にまで進んだ。作品には100曲にのぼる行進曲,オペレッタ,舞曲,歌曲などがあるが,その中で名高いのは《星条旗よ永遠なれThe Stars and Stripes Forever》(1897),《ワシントン・ポスト》(1889),《士官候補生》(1890)などの行進曲で,彼は〈行進曲王〉と呼ばれた。なお,スーザフォーンは,彼が自分の楽団のためにチューバを改造したものである。
執筆者:国安 洋
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アメリカの作曲家。『星条旗よ永遠なれ』(1897)をはじめ、『ワシントン・ポスト』(1889)、『エル・カピタン』(1895)など、数多い行進曲(マーチ)で知られる。軍楽隊のトロンボーン奏者の子に生まれ、バイオリン、ソルフェージュを幼時から学ぶ。1880~92年ワシントンの海兵軍楽隊の指揮者として君臨したのち、自らスーザ吹奏楽団を結成、世界的な演奏旅行を数度行い「マーチ王」と称せられた。140曲のマーチのほか、11曲のオペレッタ、12曲の組曲などを作曲、さらにチューバを改良したスーザフォーンsousaphoneを考案し、現代の吹奏楽の基礎を築いた。
[細川周平]
…オーストリアの軍楽隊出身のバンド・マスターとして,グングルJoseph Gungl(1809‐89)やF.レハールがいる。またアメリカで最も大きな活動をした軍楽隊長にJ.P.スーザがいる。しかし第2次世界大戦後は活動の限定などによって以前ほどの勢いはなくなっている。…
…18~19世紀にはモーツァルト,ベートーベンの《トルコ行進曲》ほか,ベルリオーズ,ショパン,マーラーをはじめ多くの作曲家が,ソナタや交響曲中で行進曲に特別な意義を与えた。また行進曲王と呼ばれるスーザや《双頭の鷲の旗の下に》のJ.F.ワーグナーも有名で,《ラ・マルセイエーズ》のように,行進曲が国歌に採用された例も知られる。 18世紀にトルコの軍楽が行進曲の歴史を大きく変えたように,東洋にも行進曲に類したものはある。…
…1890年ころ現れたコイン投入式の商業用の蓄音機が音楽レコード生産のきっかけを与えた。もっとも人気を博したのはスーザのひきいるアメリカ合衆国海兵隊軍楽隊の行進曲であった。初期の円筒式では一時に録音できるのは数本から10本だったので,注文のあるかぎり,演奏者たちは何百回でも繰り返して演奏しなければならなかった。…
※「スーザ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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