ずぼんぼ

精選版 日本国語大辞典 「ずぼんぼ」の意味・読み・例文・類語

ずぼんぼ

〘名〙
① (「ずぼみぼう(莟鼈)」の変化した語) 「すっぽん(鼈)」の異名
② 広島地方の正月の遊びの一つ。また、それに使う、紙で亀の子の形をかたどったもの。厚紙で亀の子の形(ずぼんぼ)を作り、頭、足、尾にそれぞれ一厘銭を貼り付けたものを座の中央に置いて、「ずぼんぼ、ずぼんぼ」と唱えながら団扇であおる遊び。座中でこの亀の子形にまといつかれた人は、四つんばいになって亀のまねをする。〔風俗画報‐一五六号(1898)〕
③ 子どもの遊戯の一つ。和紙を細長い箱形にして胴とし、それに手足重しに蜆(しじみ)貝をつけて作った獅子や虎などの動物を畳の上におき、あおいで動かして遊ぶもの。浅草名物の玩具。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ずぼんぼ」の意味・わかりやすい解説

ずぼんぼ

紙製の江戸玩具(がんぐ)。獅子(しし)舞、虎(とら)などの種類がある。いずれも和紙を箱型に細工して胴とし、赤い紙の頭、羽毛の尾をつけ、同じく紙の四つ足の先には蜆(しじみ)貝をつけて蹄(ひづめ)に見立て、おもりにしてある。これの周囲を小屏風(びょうぶ)で囲い、団扇(うちわ)などで風を送って躍らせて遊ぶ。天明(てんめい)年間(1781~89)から浅草観音(かんのん)境内で、同じく江戸玩具の「飛んだりはねたり」とともに売られた。ずぼんぼとは、獅子舞を躍らせるときの拍子。この囃子(はやし)にあわせて団扇であおぎ、これを前後左右に動作させるところからこの名がついた。1789年(寛政1)刊の『仮里択中洲之華美』(内新好著)には、「団扇ではたらく獅子の足は蜆貝をめしつぶでつけ、二枚屏風を小楯(こたて)にとり」とあり、着想洒脱(しゃだつ)さが江戸人に愛好され、宴席慰みとして流行した。同じような型には、すでに享保(きょうほう)年間(1716~36)に上方(かみがた)で流行した、車輪付きの「弥五郎(やごろう)人形」があった。ずぼんぼは小屏風を利用し、風加減でさまざまに跳躍するところに特色がある。明治期に入っても、広島市など地方によっては新年の遊びとして流行。幼女の室内遊びなどにも用いられた。一時中絶したが昭和期に復活。東京の郷土玩具として残存している。

[斎藤良輔]

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