ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedumの園芸種の総称。この属には約500種あり,北半球の温帯と暖帯に広く分布し,少数はアフリカや南アメリカの山地に産する。草本性多肉植物で,葉色は赤・茶・青白色系と多彩である。耐乾性や耐寒性のある種が多い。ロックガーデン,花壇,鉢植えなどに広く用いられる。英名はstonecrop,orpine,live-forever。普通,花弁と心皮は5数性,おしべは10本。根茎や越冬茎や鋸歯の有無,花茎が頂生か側生か,花序の形,心皮が合着するか否かなどの形質で,10以上の亜属にわけられる。
イワベンケイ亜属は北半球の高山に産し,根茎,越冬茎,葉の鋸歯があり,花は4数性の種が多く,心皮は顕著に合着する。ベンケイソウ亜属は通常越冬茎を欠き,心皮は合着しない。10~11月に花が咲くミセバヤS.sieboldii Sweetや8~9月に花が咲くオオベンケイソウS.spectabile Boreauなど,花がピンク系で美しい種が多い。キリンソウ亜属は集散花序で,花は普通黄色,心皮は合着しない。マンネングサ亜属は多形だが,花は黄色か白色で,根茎と葉の鋸歯がない。アツバベンケイソウ亜属はメキシコ産で,花は側生し,高度に多肉化した種が多い。タマツヅリS.morganianum E.Walth.は青白色で紡錘形の葉が密生し,茎は1mもしだれる。ニジノタマS.rubrotinctum R.T.Clausenは葉が円筒形で赤色。キダチベンケイ亜属もメキシコ産だが,花は頂生する。代表種に暗赤色で卵形の葉をしたタマバ(玉葉)S.stahlii Solmsがある。メキシコ産を除き,耐寒性がある。
執筆者:湯浅 浩史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(森和男 東アジア野生植物研究会主宰 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…ベンケイソウ科の多年生多肉植物で,高さ30~60cm,葉は卵形ないし楕円形で,長さ35~70mm,幅12~30mm,葉柄は短い(イラスト)。おしべは花弁より少し長い。花期は9月。栽培と野生の2型がある。栽培品種は中国から渡来し,葉はふつう対生,花は白桃色で,花序は下部の枝が長く伸びる。稔性は悪く,染色体数は2n=48,50。一方,野生型は本州,九州の山地にまれに産し,葉はふつう互生し,花は少し黄緑色をおび,花序は下部の枝が短い。…
…ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedum(セダム)のうち,マンネングサ亜属の総称。マンネングサ亜属は北半球や東アフリカの高山に約200種あり,日本には北海道を除き21種が見られる。…
…多肉葉を発達させるが,托葉を欠き,花弁と心皮の間に小さな鱗片(みつ腺)がある。セダム亜科は北半球に広く分布し,花はおもに5数性で,離弁,おしべは10本,代表属はマンネングサ(セダム)属Sedumや,ロゼット葉が顕著なイワレンゲ属Orostachys。クラッスラ亜科は南アフリカに集中し,アズマツメクサ属Tillaeaのみが,北半球やオーストラリアに分布する。…
…ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedum(セダム)のうち,マンネングサ亜属の総称。マンネングサ亜属は北半球や東アフリカの高山に約200種あり,日本には北海道を除き21種が見られる。…
※「セダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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