セダム(英語表記)Sedum

デジタル大辞泉 「セダム」の意味・読み・例文・類語

セダム(〈ラテン〉Sedum)

ベンケイソウ科マンネングサ属の植物の総称ベンケイソウキリンソウなど。

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精選版 日本国語大辞典 「セダム」の意味・読み・例文・類語

セダム

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] sedum ) ベンケイソウ科マンネングサ属の学名であるが、通常、同属園芸植物をさす。この属は北半球温帯ないし亜寒帯に広く分布するほか南アメリカにもあって約四〇〇種を含む。日本にもキリンソウ、ヒメレンゲなど約三〇種が自生するほか、多種が観賞用に栽培される。ふつうは多年生、まれに一年生の多肉植物で、耐乾性が強く繁殖力が旺盛。花弁はふつう五枚で、黄色が最も多く、白色青色などもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「セダム」の意味・わかりやすい解説

セダム
Sedum

ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedumの園芸種の総称。この属には約500種あり,北半球の温帯と暖帯に広く分布し,少数はアフリカや南アメリカの山地に産する。草本性多肉植物で,葉色は赤・茶・青白色系と多彩である。耐乾性や耐寒性のある種が多い。ロックガーデン,花壇,鉢植えなどに広く用いられる。英名はstonecrop,orpine,live-forever。普通,花弁と心皮は5数性,おしべは10本。根茎や越冬茎や鋸歯の有無,花茎が頂生か側生か,花序の形,心皮が合着するか否かなどの形質で,10以上の亜属にわけられる。

 イワベンケイ亜属は北半球の高山に産し,根茎,越冬茎,葉の鋸歯があり,花は4数性の種が多く,心皮は顕著に合着する。ベンケイソウ亜属は通常越冬茎を欠き,心皮は合着しない。10~11月に花が咲くミセバヤS.sieboldii Sweetや8~9月に花が咲くオオベンケイソウS.spectabile Boreauなど,花がピンク系で美しい種が多い。キリンソウ亜属は集散花序で,花は普通黄色,心皮は合着しない。マンネングサ亜属は多形だが,花は黄色か白色で,根茎と葉の鋸歯がない。アツバベンケイソウ亜属はメキシコ産で,花は側生し,高度に多肉化した種が多い。タマツヅリS.morganianum E.Walth.は青白色で紡錘形の葉が密生し,茎は1mもしだれる。ニジノタマS.rubrotinctum R.T.Clausenは葉が円筒形赤色。キダチベンケイ亜属もメキシコ産だが,花は頂生する。代表種に暗赤色で卵形の葉をしたタマバ(玉葉)S.stahlii Solmsがある。メキシコ産を除き,耐寒性がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セダム」の意味・わかりやすい解説

セダム
Sedum; orpine; stonecrop

ベンケイソウ科の多肉植物セダム属の総称。北半球の温帯から暖帯に約 500種が知られる。日本では,赤花系のベンケイソウ,黄花のキリンソウマンネングサがみられる。前2群は地下に根茎があり,普通冬は地上部が枯れる。一方,マンネングサの仲間は太い地下茎をもたず,冬も常緑で葉が小さく,グラウンドカバー植物としてすぐれている。花が美しく,耐寒性があり,じょうぶで育てやすい種類が多いため,園芸植物としてよく利用される。葉が4輪生するメキシコマンネングサが近年は特に普及している。一方,米粒状の葉が互生するタイトゴメは,関東地方以西の海岸に自生し,耐寒性が強い。日当りのよい環境を好み,多くは乾燥に強く,挿木で容易にふやすことができる。

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知恵蔵 「セダム」の解説

セダム

ベンケイソウ科マンネングサ属の多年草または一年草、越年草。オーストラリア、太平洋諸島を除き、約400種が広範囲に分布している。日本にはキリンソウやタイトゴメ、メノマンネングサなど約17種が分布。園芸的には近年、屋上緑化の最適植物として脚光を浴びているが、減温効果を疑問視する向きもある。

(森和男 東アジア野生植物研究会主宰 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セダム」の意味・わかりやすい解説

セダム
せだむ

ベンケイソウ

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世界大百科事典(旧版)内のセダムの言及

【ベンケイソウ】より

…ベンケイソウ科の多年生多肉植物で,高さ30~60cm,葉は卵形ないし楕円形で,長さ35~70mm,幅12~30mm,葉柄は短い(イラスト)。おしべは花弁より少し長い。花期は9月。栽培と野生の2型がある。栽培品種は中国から渡来し,葉はふつう対生,花は白桃色で,花序は下部の枝が長く伸びる。稔性は悪く,染色体数は2n=48,50。一方,野生型は本州,九州の山地にまれに産し,葉はふつう互生し,花は少し黄緑色をおび,花序は下部の枝が短い。…

【マンネングサ(万年草)】より

…ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedum(セダム)のうち,マンネングサ亜属の総称。マンネングサ亜属は北半球や東アフリカの高山に約200種あり,日本には北海道を除き21種が見られる。…

【ベンケイソウ】より

…多肉葉を発達させるが,托葉を欠き,花弁と心皮の間に小さな鱗片(みつ腺)がある。セダム亜科は北半球に広く分布し,花はおもに5数性で,離弁,おしべは10本,代表属はマンネングサ(セダム)属Sedumや,ロゼット葉が顕著なイワレンゲ属Orostachys。クラッスラ亜科は南アフリカに集中し,アズマツメクサ属Tillaeaのみが,北半球やオーストラリアに分布する。…

【マンネングサ(万年草)】より

…ベンケイソウ科マンネングサ(キリンソウ)属Sedum(セダム)のうち,マンネングサ亜属の総称。マンネングサ亜属は北半球や東アフリカの高山に約200種あり,日本には北海道を除き21種が見られる。…

※「セダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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