日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソアン文化」の意味・わかりやすい解説
ソアン文化
そあんぶんか
インド大陸北西部に分布する旧石器文化。インダス川の支流のソアンSoan川流域の調査で明らかにされたのでこの名がある。この文化は、転磨痕(てんまこん)の著しい大形の剥片(はくへん)石器を主体とする先ソアン文化(ヒマラヤ第二氷期)、片面ないし両面加工の打器、大形剥片石器、石核などからなるソアン前期文化(第二間氷期)、小形化した打器と調整打面をもつ剥片石器などのソアン後期文化(第三間氷期)とに編年されている。一般に、握槌(にぎりつち)を主体とする南インドのマドラス文化と対置して考えられているが、近年、系統を異にする打器文化が、中央および南インドで知られてきている。
[片岡 肇]