その他の狭心症治療剤(読み)ソノタノキョウシンショウチリョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「その他の狭心症治療剤」の解説

その他の狭心症治療剤

製品名
《ジラゼプ塩酸塩水和物製剤》
コメリアン(興和創薬、興和)
ジラゼプ塩酸塩(沢井製薬、辰巳化学、東和薬品、日本ジェネリック、日医工、日新製薬、富士フイルムファーマ)
《ジピリダモール製剤》
ジピリダモール(長生堂製薬、鶴原製薬、東和薬品、日医工、日新製薬、日本ジェネリック)
ペルサンチン(日本ベーリンガーインゲルハイム
ペルサンチン‐L(日本ベーリンガーインゲルハイム)
ヨウリダモール(日本ジェネリック、陽進堂)
《トラピジル製剤》
トラピジル(沢井製薬、高田製薬、東和薬品、日医工、日医工ファーマ)
ロコルナール(持田製薬
《トリメタジジン塩酸塩製剤》
バスタレルF(京都薬品工業、大日本住友製薬、日本セルヴィエ)
《ニコランジル製剤》
シグマート(中外製薬)
ニコランジル(沢井製薬、第一三共、第一三共エスファ、東和薬品、日医工、日本ジェネリック、ニプロESファーマ、メディサ新薬)

 冠動脈(心臓の表面を取り巻いている血管)の内腔ないくうを広げて、心臓の活動に必要な血流量を改善する作用のある薬です。


 そのため、狭心症心筋梗塞しんきんこうそくの治療と予防動脈硬化症などの治療に使われます。ただし、狭心症の発作がおこったときに使っても、発作を軽減する効果はありません。


 ジピリダモール製剤は、副作用を少なくした薬です。うっ血性心不全にも使われます。また、血栓けっせんができるのを抑える作用もあります。ワルファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓塞栓の抑制や、ステロイドによる抵抗性を示すネフローゼ症候群における尿蛋白にょうたんぱくの減少にも用います。


 ペルサンチン‐Lは、心臓弁置換術後の血栓や塞栓の抑制、慢性糸球体じん炎における尿蛋白の減少に用いられます。


 ジラゼプ塩酸塩水和物製剤は効果の持続時間が長い薬で、また心臓の抵抗力を高める効果もあり、血栓ができるのを抑える作用ももちます。


 腎機能障害(軽度~中等度)のIgA腎症における尿蛋白減少にも効果があります。


 トラピジル製剤は、冠動脈のなかの比較的太い血管を拡張して、心臓組織への血液の流れを改善する作用をもつ点が特長です。


 ニコランジル製剤は、亜硝酸剤と同様に冠動脈の内腔や、末梢の動脈・静脈の内腔も広げるので、心筋の貧血状態を改善する作用が強力な薬です。


①過敏症状(発疹ほっしん発熱、かゆみなどのアレルギー症状)をおこすことがあります。過敏症状をおこしたときは使用を止め、すぐ医師に報告してください。


ジピリダモール製剤では、狭心症の悪化、眼底・消化管・脳などの出血傾向、血小板減少がおこることがあります。このようなときは、使用を中止してただちに医師に相談してください。そのほかめまい、熱感、動悸どうき、のぼせ、頭痛倦怠感けんたいかん嘔吐おうと食欲不振、便秘、下痢などの症状がおこることがあります。


 ジラゼプ塩酸塩水和物製剤では、頭痛、めまい、動悸、胸部圧迫感、頻脈(脈が速くなる)、熱感、起立性低血圧吐き気・嘔吐、便秘、不眠、ねむけ、のどがつまる、のどが渇くといった症状がおこることがあります。


 トラピジル製剤では、肝機能障害、黄疸おうだん、皮膚粘膜眼症候群がおこることがあります。このようなときは、使用を中止してただちに医師に相談してください。そのほか、吐き気、めまいなどがおこることがあります。


 ニコランジル製剤では、肝機能障害、黄疸、血小板減少、口内・舌・肛門潰瘍こうもんかいよう、消化管潰瘍がおこることがあります。このような症状が現れたら、使用を中止して、ただちに医師に相談してください。


 そのほかの狭心症治療剤では、薬によっては動悸、頭痛、めまい、吐き気・嘔吐、食欲不振といった症状がおこることがあります。


 このような症状がおこったら、必ず医師に相談してください。


①いろいろな剤型がありますが、食後の服用が原則です。ただし1日の服用回数・1回の服用量については、医師の指示をきちんと守ってください。


 また、正しい服用ができるように、あらかじめ医師に自分の日常生活や仕事の状況をよく話して、無理なく服用できるような方法を指導してもらってください。


②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの有無、とくに、以前にカルシウム拮抗剤きっこうざいで過敏症状をおこしたことがある人、両親やきょうだいにアレルギーのある人、ほかの心臓病、腎臓じんぞう・肝臓・血管の病気のある人は、医師に報告してください。トラピジル製剤は、頭蓋内出血発作後、止血が完成していない人、ニコランジル製剤は、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(ジルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル)またはグアニル酸シクラーゼ刺激作用剤を使用中の人は、この薬を使えません。


 また、緑内障、低血圧などがある人は、服用量を減らすなどの配慮が必要です。あらかじめ医師に報告し、使用するときも医師の指示をより厳重に守ってください。


③妊婦または現在妊娠している可能性のある人は、あらかじめその旨を医師に報告してください。この薬が服用できないこともあります。


④子どもや高齢者は使用量を誤ると副作用が強く出ます。家族も協力して、指示された服用量をきちんと守るように注意してください。


⑤使用中の薬があったり、ほかの薬を使う必要があるときは、前もって必ず医師に相談してください。


 薬によっては、降圧剤βブロッカー製剤などの交感神経抑制剤、不整脈治療剤利尿剤、強心剤〔心不全の薬〕と併用すると、この薬の効果が低下したり、副作用が出やすくなります。


⑥飲酒によって血圧が極端に下がることがあります。服用中は禁酒を守ってください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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