ソルフェージュ(その他表記)solfège[フランス]

デジタル大辞泉 「ソルフェージュ」の意味・読み・例文・類語

ソルフェージュ(〈フランス〉solfège)

歌詞を用いず母音またはドレミファ音名を用いて行う歌唱訓練。また、それから発達し、音楽理論視唱読譜暗譜聴音などの能力を養う音楽の基礎教育。

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精選版 日本国語大辞典 「ソルフェージュ」の意味・読み・例文・類語

ソルフェージュ

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] solfège ) 母音またはドレミの音名で歌われる声楽音程リズムを含めた基本練習の一つ。フランスベルギーで始められ、読譜、初見視唱、暗譜、聴音、和音感などの能力をつけるのを目的とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「ソルフェージュ」の意味・わかりやすい解説

ソルフェージュ
solfège[フランス]

歌唱練習の一種で,旋律を歌詞なしで,音名や階名で歌うこと,またそのための練習曲。広義には読譜と表現に関する音楽の基礎教育全般を指す。

 高さの違う種々の音を区別して単純なシラブルで呼ぶことをソルミゼーションsolmizationといい,音階の各音を表せば音名や階名の機能をもつ。旋律の記憶や教習の手段として,古来,種々のくふうがなされている。日本の唱歌(しようが)や口三味線もソルミゼーションに近いものである。ヨーロッパの近代的ソルミゼーションの基礎は11世紀のグィード・ダレッツォによって作られた。彼は歌唱指導のため〈聖ヨハネ賛歌〉から抽出した(これには異説もある)ウト,レ,ミ,ファ,ソ,ラのシラブルを音階の各音に当てはめ旋律を歌う方法を創始した。近代的な音階・調性感の確立とともに,〈ウト〉の位置は〈ハ〉に固定し,〈シ〉が加えられた。またフランスを除いて歌いにくい〈ウト〉が〈ド〉に変わった。

 ソルミゼーションのシラブルを歌唱練習に用いることは,18世紀にイタリア,フランスで声楽の教育体系として完成し,ソルフェージュと呼ばれ,初歩から高度な水準に至る練習曲が編まれた。19世紀に各地に音楽学校が創設されると,フランスを中心として,ソルフェージュに他の科目を加えた音楽の基礎教育が全音楽学生を対象に整備され,それをソルフェージュと総称するようになった。音楽の基礎教育としての広義のソルフェージュは楽譜の完全な読解力と正確な表現力の習得を目的とする。内容としては楽典(音楽理論,和声分析,調分析),聴音(音の聴取と記譜),ソルフェージュ(楽譜の視唱,各種音部記号,音程,フレージングニュアンス等の総合的な学習),種々な方法によるリズム練習等がある。

 ソルミゼーションのシラブルの用法には固定ド唱法(音名唱法の一つで,ドをつねにハ音に固定して歌う唱法)と移動ド唱法(階名唱法ともいい長調の場合には主音をドとし,短調の場合は主音をラとして歌う唱法)の2種がある。固定ド唱法はイタリア,フランスで行われている。移動ド唱法は19世紀イギリスで音楽の大衆化をはかる啓蒙主義的な音楽教育法であるトニック・ソルファ法から広まり,ドイツでも採用されている。調性感の体得に効果があるが,複雑な転調を含む音楽には適さない。したがって初歩の教育における歌唱指導には移動ド唱法が効果的であり,専門教育の分野では固定ド唱法や,ドイツ音名によって歌うアー,ベー,ツェー,ディーレンが用いられている。
音名
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソルフェージュ」の意味・わかりやすい解説

ソルフェージュ
そるふぇーじゅ
solfège フランス語
solfeggio イタリア語

音楽の基礎教育の一つで、旋律や音階などを母音のみ、あるいは階名などのシラブルで歌うこと(母音のみで歌う場合には、とくにボカリーズとよぶこともある)。18世紀にイタリア、フランスで声楽の教育体系として、特定のシラブルを歌唱練習に用いることが完成された。これがソルフェージュとよばれるようになり、多くの練習曲がつくられた。19世紀にはフランスを中心として、この狭義のソルフェージュに他の科目を加えた音楽の基礎教育が音楽学生を対象に整備され、その全体をソルフェージュと総称するようになった。この広義のソルフェージュは、完全な読譜力と正確な表現力の習得を目的としている。内容としては、楽典(音楽理論、和声分析など)、聴音(音高や和音、音価などの識別とその記譜)、ソルフェージュ(楽譜の視唱、音程やフレージングなどの総合的な学習)、さまざまな方法によるリズム練習などがある。

[卜田隆嗣]

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百科事典マイペディア 「ソルフェージュ」の意味・わかりやすい解説

ソルフェージュ

ソルミゼーションや母音を用いて歌唱訓練すること。また,そのための教則本(たとえばイタリアの声楽教師G.コンコーネ〔1801-1861〕によるもの)。さらに,このような訓練を中心とする音楽の基礎教育全般をさし,フランスで始まった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソルフェージュ」の意味・わかりやすい解説

ソルフェージュ
solfège

最初は旋律をドレミで歌う唱法をさしたが,やがてフランスやベルギーで音楽家の基礎教育科目となり,音程,リズム,音部記号に習熟させ,あわせて聴音能力を身につけさせるなどの訓練をさすようになった。

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デジタル大辞泉プラス 「ソルフェージュ」の解説

ソルフェージュ

よしながふみによ漫画作品。音楽教師と教え子のお話。『花音』1996年6月号に掲載。芳文社花音コミックス全1巻。

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