翻訳|rock garden
岩石を積み上げ組み合わせて,そこに高山の状態に似た岩石まじりの土壌の少ない場所をつくり,植物を配植した観賞用庭園または花壇の一様式。もともとヨーロッパに生まれ,高山植物や特殊な植物を植えるためにくふうされたもので,17世紀ごろイギリスでつくられたといわれる。最初は高山植物園alpine gardenとして使われ,ロッケリーrockeryとも称され,岩石園,岩組園などの和訳がある。通常,小高い築山を設けることを考え,平たん地では地表を掘り込んでその土を積み上げ,傾斜地ではそれを適当に利用し,大小の岩石を配する。そこに変化の多い環境をつくり出して,平地では生育が難しい高山植物が育つようにくふうしたものである。岩石の組合せにより生じた空間には排水のよい土壌を入れて植栽場所とし,そこに高山植物,野草,その他小型植物を配して観賞する。
ロックガーデンの位置は敷地の隅部か建物の北側が適し,東南北が開け,風通しがよく,夕日を避けるようなところがよい。盛土や岩石の積上げなどで地形に起伏をつけ,植栽場所を設け,そこへ壌土に等量の砂を混ぜ,必要に応じて腐葉土,水ごけ,パーライトなども加える。植栽する種類は,その場所の環境に応じて選定する。例えば,日照が十分であれば陽地性のもの,土壌が少なく乾燥しやすい場所には耐乾性のものを用いる。
使用する植物のうち高山性の種類の代表的なものを次にあげる。(1)乾地性植物 ハイマツ,タカネナデシコ,コマクサ,ミヤママンネングサ,イワベンケイ,シコタンソウ,チョウノスケソウ,タカネスミレ,ユキワリソウなど。(2)陽地性植物 クロユリ,シラネアオイ,カライトソウ,ガンコウラン,イワカガミなど。
高山植物以外の利用種を岩石植物という。管理では夏の高温,乾燥の害を防ぐための灌水,日除け,冬の寒害から守るための被覆が主体である。
執筆者:北村 文雄
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