タヌキマメ(読み)たぬきまめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タヌキマメ」の意味・わかりやすい解説

タヌキマメ
たぬきまめ / 狸豆
[学] Crotalaria

マメ科(APG分類:マメ科)タヌキマメ(クロタラリア)属の総称。日本にはタヌキマメC. sessiliflora L.が分布するが、一般には観賞用のものを属名のクロタラリアの名で総称している。日本でよく栽培されるのはレトゥサ種C. retusa L.である。レトゥサ種は非耐寒性の一年草で、高さ約1メートル。6~8月、30センチメートルほどの花穂をつけ、径2~3センチメートルの黄色の蝶形花(ちょうけいか)を十数個開く。播種(はしゅ)は春にするが、種皮が硬いので一昼夜温水に浸(つ)けて播(ま)くとよく発芽する。日当り排水のよい場所でよく育つ。タヌキマメ属にはほかに、繊維作物であるサンヘンプがある。

[柳 宗民 2019年10月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「タヌキマメ」の意味・わかりやすい解説

タヌキマメ (狸豆)
Crotalaria sessiliflora L.

萼が褐色の長毛におおわれている様子をタヌキに見立てたといわれるマメ科の一年草。平地丘陵などの日当りのよい草むらに生え,高さ20~70cm。葉は日本のマメ科植物の中では珍しい1枚だけの小葉からなり,線形または披針形で,長さ4~11cm,先はとがる。7~9月に茎の先に花を穂のような総状花序に,2~20花つけ,下から上に順次開花し,結実してゆく。花は青紫色の蝶形花で,基部は萼におおわれる。萼は花後も生長して果実をおおう。果実はふくれた長楕円形で,長さ10~15mm,多数の種子を入れ,熟して2片に裂開する。東北地方南部以西,四国,九州,沖縄に生え,朝鮮,中国,東南アジアおよびインドに分布する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タヌキマメ」の意味・わかりやすい解説

タヌキマメ(狸豆)
タヌキマメ
Crotalaria sessiliflora

マメ科の一年草。アジアの東部と南東部の暖帯から熱帯にかけて広く分布する。日本では本州,四国,九州の原野や土手の草地に生える。茎は直立し,上部でわずかに分枝することがあるが,通常分枝せず単立する。葉は長さ数 cmの線形ないし披針形で,表面は無毛であるが,裏面には茎と同様の褐色の細毛を密生する。夏から秋にかけて,茎の先端に穂状花序をなして青紫色の小さな蝶形花を密につける。豆果は長楕円形で表面はなめらかで,毛はない。

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百科事典マイペディア 「タヌキマメ」の意味・わかりやすい解説

タヌキマメ

マメ科の一年草。本州〜沖縄,東〜東南アジアの日当りのよい草地にはえる。高さ50cm内外,葉は広線形で柄がなく,長さ5〜10cm。夏,茎頂に花穂を出し,青紫色の蝶(ちょう)形花を開く。萼(がく)は褐色の長軟毛におおわれ,果実時には膨大して長さ15mmに達する。豆果は線形で2片に裂ける。狸豆の名は,萼に包まれた豆果の様子か,正面から見た花の様子に由来するといわれる。

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