日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウセンゴミシ」の意味・わかりやすい解説
チョウセンゴミシ
ちょうせんごみし / 朝鮮五味子
[学] Schisandra chinensis (Turcz.) Baillon
マツブサ科(APG分類:マツブサ科)の落葉性つる植物。本州(中部地方以北)、北海道のほか、樺太(からふと)(サハリン)、アムール地方、中国、朝鮮半島などに分布する。茎はまばらに分枝し、有柄の葉を互生する。葉身は薄く、卵形、広倒卵形ないし広楕円(こうだえん)形で、長さ5~11センチメートル。葉の先端は急にとがり、縁(へり)に小歯牙(しが)があり、葉脈の部分はややへこむ。雌雄異株で、新しい枝の基部には長い花柄をもつ花が垂れ下がり、5~7月に淡黄白色の花を開く。花の直径は約1.5センチメートルで、花被(かひ)は6~9個。雌花では多数の雌しべが花床の上に螺旋(らせん)状に並ぶが、受粉後、花床は長く伸び(3~10センチメートル)、直径5~7ミリメートルの深紅色の球形の液果を多数つける。この果実を乾燥させて黒色になったものを五味子(ごみし)といい、漢方では鎮咳(ちんがい)、強壮、興奮、止瀉(ししゃ)、止汗剤として喘咳(ぜんがい)、盗汗、インポテンス、過労、神経系疾患の治療に用いる。五味とは、有機酸の酸味、糖の甘味、精油の辛味、種子の苦味、果皮の鹹味(かんみ)(塩味)の5種の味をもっているという意味である。
[長沢元夫 2018年7月20日]