ちり鍋(読み)チリナベ

デジタル大辞泉 「ちり鍋」の意味・読み・例文・類語

ちり‐なべ【ちり鍋】

ちり」に同じ。 冬》「―やぎんなん覗く葱の隙/友二」

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精選版 日本国語大辞典 「ちり鍋」の意味・読み・例文・類語

ちり‐なべ【ちり鍋】

  1. 〘 名詞 〙ちり《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「鯛の菽乳羹(チリナベ)を沸沸いはせながら」(出典多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)

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改訂新版 世界大百科事典 「ちり鍋」の意味・わかりやすい解説

ちり鍋 (ちりなべ)

魚貝,豆腐,野菜などを水煮にして,ポンスしょうゆで食べるなべ料理。魚貝ではタイ,タラフグオコゼホウボウコチカワハギカキなどが用いられ,野菜やキノコではハクサイ,ホウレンソウ,シュンギクダイコンミツバシイタケエノキタケなどが適する。魚は骨付きのままぶつ切りにし,フグを除いては卵巣や肝臓も用いる。野菜は,ミツバ,シュンギク以外はあらかじめゆでておくことが多い。薬味にはもみじおろしとアサツキの小口切りなどを添える。タイ,タラ,フグを主材料とするものは,それぞれタイちり,タラちり,フグちり(またはてっちり)と呼び,タイ,フグは刺身をとったあとのあらを利用することが多い。石井研堂の《明治事物起源》に〈ちりの流行〉なる一節があり,その引用文献によると,ちりは古来九州・四国地方で行われていた料理法だとするが,明治以前の文献に記載があるとの報告はまだないように思う。ただし,明治中期には九州・四国方面から伝播(でんぱ)して,東京でもおおいに行われたようである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ちり鍋」の意味・わかりやすい解説

ちり鍋
ちりなべ

鍋料理一種。大阪で多くみられ、味もよく酒客の好む料理。深鍋にだし昆布を敷き、水を6~7分目に加えて煮立て、昆布を引き上げる。これに塩一つまみを加え、シラウオ、カキはそのまま、タイ、スズキ、コチ、タラ、アイナメ、ホウボウ、カワハギなどの魚は下ごしらえをしてさっと塩をふるか、薄い塩水をくぐらせてから用いる。魚によっては、あら、白子(しらこ)、肝(きも)なども用いる。ふぐちりはフグだけを単独に用いる。野菜はダイコン、ミツバ、シュンギク、シイタケなどが適する。豆腐はそぎ切りにして加え、ダイコンは半月またはいちょうの薄切りにする。酢、しょうゆ、酒を三つ割りにした調味酢をつけて食べる。青みにはワケギなどがよい。煮えにくいものから先に鍋に入れ、煮ながら供する。魚の身を鍋で煮ると身がちりちりと縮むところから、「ちり」の名がついた。

[多田鉄之助]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ちり鍋」の意味・わかりやすい解説

ちり鍋
ちりなべ

鍋料理の一種。魚介類,豆腐,野菜類を1つの鍋で湯煮し,調味酢 (レモンのしぼり汁または酢に醤油,酒,薬味を加えたもの) をつけて食する。魚介類は白身のものが普通で,たい,たら,ふぐ,ほうぼう,かきなどを用いるのが一般的である。

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百科事典マイペディア 「ちり鍋」の意味・わかりやすい解説

ちり鍋【ちりなべ】

鍋料理の一種。新鮮な魚介類を主材料とし,コンブ,豆腐,白菜,シイタケなどとともに土鍋で水たきし,薬味を添えたぽん酢醤油をつけて食べる。白身の魚が適し,タイちり,タラちり,フグちり(てっちり)などがある。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「ちり鍋」の解説

ちりなべ【ちり鍋】

ちり。⇒ちり

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