改訂新版 世界大百科事典 「ツクバネ」の意味・わかりやすい解説
ツクバネ
Buckleya lanceolata (Sieb.et Zucc.) Miq.
ビャクダン科の半寄生性落葉低木。山地のやや乾いたところに生え,高さ1~2mになり,枝を多く茂らせる。葉は対生し,ほとんど無柄で,長さ3~10cmの長卵形で,全縁。雌雄異株。花は淡緑色の小花で,5~6月ころ雄花は数個が枝端に散房状につき,雌花は枝端に単生する。果実は長さ約1cmの楕円形で,頂部に宿存性の苞が発達した長さ約3cmで披針形の4枚の翼をもつ。その形が羽子板遊びのつくばね(突羽根)に似ているところから,ツクバネと呼ばれるようになった。若い果実の塩漬にしたものを料理のつまとし,また若葉は浸し物とする。本州,四国の低山地に分布する。
ツクバネ属Buckleyaはほかに中国に2種,北アメリカに1種あり,いずれも半寄生性の低木である。アメリカ産のツクバネの1種B.distichophylla (Nutt.) Torr.はツガ属の樹木に寄生することが知られている。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報