日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティシュバイン」の意味・わかりやすい解説
ティシュバイン
てぃしゅばいん
Tischbein
18、19世紀に多くの画家を輩出したドイツの一族。とくにカッセルで宮廷画家、美術院長を務めたロココの画家ヨハン・ハインリヒJohann Heinrich T.(1722―89)、その甥(おい)でライプツィヒの美術院長を務めた古典派の肖像画家ヨハン・フリードリヒ・アウグストJohann Friedrich August T.(1750―1812)、その従弟(いとこ)で古典派の画家ヨハン・ハインリヒ・ウィルヘルムJohann Heinrich Wilhelm T.(1751―1829)が有名である。
この最後のウィルヘルムはハイナに生まれ、伯父ハインリヒおよびハンブルクの伯父ヤーコプJakob T.(1725―91)に学び、1779年まで肖像画家として活躍。その後二度イタリアに遊学し、同地に滞在中のゲーテと親しく交友し、86年ローマで『カンパーニャのゲーテ』(フランクフルト市立美術館)を描いたことで有名。ドイツ帰国後はハンブルクに住み、古典主義に基づく画風を推進した。オイティンで没。
[野村太郎]