ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テナガエビ」の意味・わかりやすい解説
テナガエビ
Macrobrachium nipponense
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節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目テナガエビ科に属する淡水エビ。水産業上の重要種で、本州、四国、九州各地のほか、朝鮮半島、中国大陸北部、台湾に分布し、流れの緩やかな河川の中・下流域や湖沼にすむ。体長9センチメートルに達し、第2胸脚が、大形の雄では体長の2倍に達する。額角(がっかく)は水平に突出し、上縁に11~15歯、下縁に2~5歯がある。体色は緑色または緑青色を帯びた褐色を呈し、濃色の複雑で不規則な斑紋(はんもん)がある。産卵期は5月下旬から9月中旬で、約1年で性的に成熟し、交尾、抱卵後、幼生を放したあとに死ぬ。
本州中部地方以南には流れのある瀬を好むヒラテテナガエビ(ヤマトテナガエビ)M. japonicumや静水性のミナミテナガエビM. longipesなどもみられる。琉球(りゅうきゅう)諸島から南に産するコンジンテナガエビM. larは、東南アジア原産の体長40センチメートルに達するオニテナガエビM. rosenbergiなどとともに、養殖の対象とされている。
[武田正倫]
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