デモンストレーション効果(読み)でもんすとれーしょんこうか(英語表記)demonstration effect

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

デモンストレーション効果
でもんすとれーしょんこうか
demonstration effect

経済学で使用される効用関数においては、個々人の消費は、他の人々からまったく独立であって、個々人の主観的判断に基づいて決定されると考えられてきた。しかし、われわれの日常的な行為からも明らかなように、消費を決定する際には、所得ばかりではなく、われわれを取り巻く社会環境によっても大きく影響される。たとえば、低所得の人々の間で生活すれば消費は小さくなる傾向があり、高所得の人々の間で生活すれば消費水準は高くなる傾向がある。これをJ・S・デューゼンベリーはデモンストレーション効果とよび、人々の消費水準は相互依存関係にあることを指摘した。

 消費関数は、短期的にみるとC=aY+b(ここでCは消費、Yは可処分所得、a、bは定数を示す)となるが、長期的にみればC=cY(cは定数)となるといわれる。この短期と長期の消費行動の差異を統一的に説明するために、相対所得仮説恒常所得仮説流動資産仮説などの理論が生まれた。デューゼンベリーは相対所得仮説の立場にたち、消費水準は現在の所得水準と過去の最高所得水準およびデモンストレーション効果などにより決定されるので、消費行動は短期と長期では異なると主張する。

 なお、消費の相互依存関係を示すものとしては、このほかベブレン効果とよばれるものがある。これは、人々が生活程度の高さを誇示することを意図して、たとえば宝石毛皮コートなどを購入する場合であって、「衒示(げんじ)的消費」といわれる。

[畑中康一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

デモンストレーション効果
デモンストレーションこうか
demonstration effects

もともとは経済学の用語で,個人の支出が,自分の所得ばかりではなく,他人の消費水準・消費様式の影響を受ける現象をいう。この効果は,耐久消費財で主に観察された現象である。

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