トラジャ族(読み)トラジャぞく(英語表記)Toradja; Toraja

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラジャ族」の意味・わかりやすい解説

トラジャ族
トラジャぞく
Toradja; Toraja

インドネシア領スラウェシ島中部に住むプロト・マレー系の民族。トラジャは山の人,奥地人の意。文化的に西トラジャ,東トラジャ,南トラジャの3集団に分けられ,総人口約 60万余と推定される。西・東トラジャは伝統的に焼畑による陸稲耕作民であるのに対し,南トラジャは水稲を栽培し,今日では広く水田が開かれている。出自は一般に双系をたどり,族内婚で妻方居住制である。社会組織は,南トラジャは王族貴族平民,奴隷の4階層に分れていたが,西トラジャは王族を除く3階層から成っていた。かつては首狩りが盛んであった。各村の自律性が強いが,南トラジャではいくつかの村の連合体がつくられていた。宗教は祖先崇拝を中心としており,東トラジャには洗骨の習慣がみられた。トラジャ族葬儀に関する儀礼を「西の儀礼」と呼び,収穫儀礼や社会福祉の祈願儀礼を「東の儀礼」と呼んでいる。約 80%がキリスト教を受容したが,まだ伝統宗教の要素を多く残している。

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