日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルイジン」の意味・わかりやすい解説
トルイジン
とるいじん
toluidine
芳香族アミンの一つ。メチル基とアミノ基の相対的な位置により3種の異性体があり、いずれも対応するニトロトルエンの還元で得られる。アミノトルエン、メチルアニリンなどともいう。各種の染料の合成に用いられる。
(1)o(オルト)-トルイジン 無色の液体。普通はやや黄色を帯び、酸素や光の作用で赤褐色に変わる。水にはほとんど溶けないが、エタノール(エチルアルコール)、エーテルにはよく溶ける。
(2)m(メタ)-トルイジン p(パラ)-トルイジンから2-ニトロ-4-メチルアニリンを経て合成する方法、トルエンを塩化アルミニウムの存在でメチルヒドロキシルアミンまたはヒドロキシアンモニウム塩でアミノ化する方法などでも合成される。性質はo-トルイジンに似ている。
(3)p-トルイジン 無色の結晶。水にはわずかに溶ける。エタノール、エーテルに対する溶解度は他の二つの異性体より劣る。
[務台 潔]